「りょうさんの:ほぼ毎日、エクステリア&ガーデンメモ」・・・NO2,137
「日本庭園と日本外構 編」・・・作庭書「築山山水庭造伝・前篇上」⑬!
「山水築山庭造伝・前篇上」(最終回)・・・北村援琴・秋里離島共著 1735年の作
58:池や泉の魚を鼬(イタチ)に取られない方法
池や泉で飼っている魚をイタチに取られないようにするには、コショウを包んだものを四方に置く。また、ハリネズミの皮をガラスの徳利に入れ池や泉の上に吊るす。こうすればイタチが来ない。
補足事項:イタチはコショウを嫌うという事? ハリネズミはイタチの天敵でその皮を見て逃げるという事? 正確な理由は不明。
59:竹を斑模様にする方法。
フルイにかけた細かな砂185g(50匁)、ザクロ石(碌礬)を粉にしたもの112g(30匁)、タンバン(胆礬)石75g(20匁)、石灰19g(5匁)を混ぜ水で撹拌して、竹に模様を付けたり、斑にしたい部分に塗る。そうして、塗った部分が乾くと模様が浮き出る。
補足事項:ザクロ石=ケイ素、タンバン=硫酸塩、石灰=酸素と化合したカルシウム類(炭酸カルシウム、等)。従って、これらの成分を混ぜ竹に塗ると変色(あるいは脱色)すると言うことであろう。
60:竹を植える適切な季節
竹を植えるのは6月20日が良い。そうすれば必ず根づく(梅雨の前半が良いと言う事であろう)。
61:接木に使う薬
接木をする時には、青葉のかつ香(香木の事と考えられるが詳細不明)3.75g(1匁)、蓮肉1.9g(0.5匁)、高麗人参0.19g(5分)を水に溶かす。そして接穂に塗る。こうすると活着率が高くなる。また、接穂を着けた接木苗の根に塗ると根おろしが良くなり成長を促進する(根拠、効果のほどは不明)。
62:花を早く開花させる方法
花を早く開花させるには、馬の糞を水に浸してそれを根元にそそぐ。すると、通常は3〜4日かかるものが翌日に咲く(根拠、効果のほどは不明)。
63:果樹の実のりを良くする方法
社日(土地神様を祭る日。一般的には春と秋)に果樹の下を突けば実が良く成る。また、これまで実が成らなかった果樹も同じことをすると、実を結ぶことがある(土地神様のご利益と言う迷信であろう)。
64:松の移植法
松を植えかえる場合は、春の社日の前日が良い。この日に根に土をしっかりと付けて移植すれば、成功率100%(63項同様に迷信であろうが、同時期が移植の適期でもあるとでもあろう)。
65:諸々の樹木の幹を太くする方法
諸々の樹木を太く育てるには、幹に浅く縦に切れ目を入れておく事。そうすれば太くなる。
66:諸々の樹木を毛虫から守る方法
諸々の樹木に毛虫が付かないようにするには、スルメの頭の部分のヒラヒラを筆の鞘に入れて、樹木にいくつも吊り下げておくと良い。そうすると毛虫が付かない(効果にははなはだ疑問)。
67:池でカエルを飼う方法
山城井出(現在の京都市左京区大原井出町)のカエルは鳴き声に品がありやかましくない。しかし、その他多くの地区のカエルの鳴き声はやかましい。だから、井出のカエルを一匹捉えて池で飼うカエルに加えておくと、他のカエルが鳴かなくなり静かになる(効果にははなはだ疑問)。
68:庭のサイズ・地形に関する図
庭は広い狭いの差がある。だからこの図(ただし、中谷ゼミ資料に図の添付は無い)を見て、山水(庭)のゾーニングを研究しなさい。また、庭作りにはそれぞれの(真行草)違いがありあり、山も島も無い事さえある。従って、石組だけで庭を作る時もこの図を参考にしなさい。また、石をどの程度横に長く設置すれば良いか、どの程度深く掘り下げ設置すれば良いかも、この図を見て状況判断しなさい。
69:石灯篭に関する図
石灯篭から手水鉢に至るまで、使う石は大和国の御影石が最上級品である。2番目が丹波の石。3番目が京都の白川石。4番目が滋賀県の木戸石。その他の自然石の灯篭の傘や手水鉢は、奇妙な特性を持つものでなくてはならない。例えば、色々な場所で取れる珍しい石、海の中の石などで作った手水鉢などにそのようなものがある。このような珍品は作者の好奇心をそそるもので無ければ、しいて使う必要が無い。
以上「山水築山庭造伝・前篇上」 完
そこで本日の一口アドバイス。
「終盤の項目には興味深い部分もあるが、胡散臭い部分も・・・」
(りょう)