りょうさんの:エクステリア&ガーデンメモ

 

「りょうさんの:ほぼ毎日、エクステリア&ガーデンメモ」・・・NO2,138

 

「日本庭園と日本外構 編」・・・作庭書「築山山水庭造伝・前篇中」①!

今回から「山水築山庭造伝・前篇中」(前項までは、前篇上)の現代語意訳に移ります。

「山水築山庭造伝・前篇中」・・・北村援琴・秋里離島共著 1735年の作

1:安芸国・厳島の風景について

ここに図で示した(中谷ゼミ資料には図の添付は無い)鉢山水(盆栽? コンテナで作るミニガーデン、あるいは坪庭のような物であるのかも知れない)は、持ち主の好む風景を写し取るべきである。鉢山に限らず庭も同じだ。ただ、施主にこれと言った好みが無い場合は、その家の職業に合わせ、各地にある景勝地を参考に作ると良い。逆に、**国の**と言う景色、と言った想定が無いまま、適当にレイアウトすると言ったことは避けるべきだ。また、施主がこのよう景色が良いと言っても、その景観に関する知識もなく、適当に作るような事をしてはいけない。

この他、大した目的もなく、一定の空間を覆い尽くすように、むやみに手を加えるような事もすべきではない。色彩豊かな絵と水墨画を混ぜるようなもので、素人やセンスの無い好き者が作った、俗な駄作になってしまうからだ。意味の無い要望は否定して、見飽きることが無いような庭にすることが大切である。

2:橋本の樹木に関する事

橋本の樹木とは、橋の手前に行う植栽の事だ。その場合は、枝葉が橋の上にかかるようにして、さらに池の水面にそれが映るように心がけなさい。樹種に関しては特に限定されるものは無い。

3:飛泉の樹木に関する事

滝口や池で滝の前面に行う植栽は、流れ落ちる水(飛泉)が全て見えることが無いように、奥深く少し暗い雰囲気(部分的に滝を隠す)にすると、鑑賞して飽きが来ないものとなる。樹種に関しては特に限定無し。ただ、落葉樹(冬樹)は避けるべきである。

4:庵に添えて植える樹木

山を越えるような場所には、腰掛、峠の茶屋、荒れ野の中の家屋のようなものを作る。そして、軒近くに樹木を植えて木陰も作る。その場合の樹種に関しての限定は無い。しかし、松が一番良くて、栗・柿などもお勧めである。

5:土手側の見越しの処理方法

何かを超えて見える木(見越しの木)は、内側を三分・外側を七分の感覚(外側にせり出している)にして、その景観を作りだす。樹種は松が一番。樫・樅・栂・槇などもお勧めである。

6:池の際に植える樹木

池の際に植える樹木は、その枝が水上に差し掛かるようにして、炎天下でも涼しく見えるように植える。あるいは、月を眺めるときを想定して、それに適した枝ぶりとなるように植える事。これらは、作庭時の景観だけではなく、時間が経過した情景、つまり+αのプランポイントとなる。樹種に限定は無い。

7:その他の植栽ポイント

植栽とは、ただ無意味に木を植え、その後に通路を確保すれば良いというものでは無い。先に全体プランを纏め、石組をほどこし、この後に木を植える。趣のある景観に仕上げるには、見る・聞く・知るの3ポイントがあり、イメージの良い飛び石の置き方、里山の風景、山の麓の風景、山間のもの淋しさ、などの風情ある風景に仕上げることが大切である。

昔から、センスある人(数寄人)は全て、野山のイメージを景観作りに取り入れ素晴らしい作品とした。例えば、千道案(安土桃屋な時代の茶人。千利休<宗易>の長男)は一度解体した古家を庭の道端に置き素晴らしい雰囲気を作り出したと伝えられる。また、大木がある場合はその木を割いて植え、大きな石がある時はその石を撤去せず活かした。この他、遠景を庭で再現しようとする場合は、樹木の高さを調整して手前に背の高い木〜次第に背の低い木を植える、などの演出をほどこした。

また、木と竹は、3本・1本・5本・2本と言う順番で植える。書物によっては、3本植えは良くないと書かれている。理由は、三金輪(みつかなわ=3つの鼎立=相互に殺しあう危険性が生じる)と言って嫌われるからである。ある人がそんなことは気にしないと言っても、昔からの伝えは尊重すべきだ。

似ているものは嫌われると言う伝えもある。これは「似ている」を「睨む」に聞き違えた転語と考えられる。いずれにしても睨むの元は物が2つあるため。これもまた3を嫌うと言う根拠と似たようなものだ。しかしながら、2本も3本もまとめて植えた場合は木が重なり1本(1群)に見える。このような特性を使った植え方を錯覚を使った植え方とも言う。逆に、横に並べて3本植えた場合はそのまま3本に、同じく2本植えた場合はそのまま2本に見える。だから、柱が並んでいるのと同じでまったく魅力が無い。だからこそ、3本植えの場合はこのようにする事。2本植えにする場合はこのようにする事。5本植えにする場合はこのようにする事(おそらく原本には図面が添付されていた。ただし、中谷ゼミ資料に図面は無い)。

この基本を知って植栽を行えば、千利休の近くに背の高い木〜遠くに背の低い木を植えることで遠近感を強調するという教え、織部(利休の弟子・古田織部)の近くに背の低い木〜遠くに背の高い木を植えることで遠近感をあえて無くすと言う教え、等の真の技術を習得することが出来る。

余談ではあるが、通路に樅を植えたのは織部が最初である。竹を植えたのは石州(片桐石州=江戸時代の茶道家)が最初である。南天を植えたのは桑山左近(号:宗仙=安土桃山時代の武士・茶道家)が最初である。

そこで本日の一口アドバイス。

「7項には植栽の基本が=不当編三角形・強弱、等。だが、文章に難点!」

(りょう)