りょうさんの:エクステリア&ガーデンメモ

 

「りょうさんの:ほぼ毎日、エクステリア&ガーデンメモ」・・・NO2,143

 

「日本庭園と日本外構 編」・・・作庭書「築山山水庭造伝・前篇中」⑥!

 

「山水築山庭造伝・前篇中」(最終回)・・・北村援琴・秋里離島共著 1735年の作

16:三和土の仕様に関する事②

建物の中(軒内)の黒タタキの仕様は以下の通り。黒土171㎏(三荷)に石灰60㎏(1表)を混ぜ合わせ、さらに水を加えて泥状にする。これを建物内の土間部分に囲いをして流し込む。3〜4日経過すると適度に乾くので、この段階で良く叩く。叩く時に塩に含まれるにがり(塩化マグネシウム=MgCl2)を少しずつ一面に撒き叩く事。さらににがりを撒き叩くという作業を繰り返す。表面を叩くと水分が浮き出る。その水分が乾くとまた叩く。この繰り返しである。すると、土がかなり減るので、その分を追加しながら作業を進めなさい。

補足事項:現在の標準的タタキ成分は、土+石灰+にがり。3種を混ぜて使うので三和土と言う字を当てはめる。ただし、このコーナーによると、江戸時代は建物内の黒タタキ以外にがりは使われていない。それだけ、にがりが高価であったという事か?

建物内の赤タタキの場合は、黒土ではなく赤土(粘土)を使う。ただし、この場合石灰は入れない。そして、赤土自体の水分を使い、臼に入れて良くかき混ぜ粘度調整を行う。ただ、もし水分が不足していれば少しだけ水を加えても良い。こうして餅のようになった赤土を使う。そして、必要分を敷き詰めてならした上で叩いて固める。この場合も、何回も同じ作業を繰り返す。赤土は水分を少な目にする事。そうしないと、乾いた時にヒビ割れする。

17:庭の仕上げ作業

庭の仕上げとして、形を整える作業を行う。石の根際・樹木の根元などを良くチェックし、小石を取り除き、盛り上げっている部分の土を削り、逆に低い部分にその土を置く。このように調整して、全体をバランス良く纏める。凸凹を無くす作業は外見を整えるだけではなく、雨が降った時に水溜りが出来ないようにすることにもなる。これが仕上げ調整作業である。

上扈平(読み=カミコナラシ?=土の表面を整える)と言う地表の仕上げ方がある。その地表に撒く土は3種ある。1つ目は黒土、2つ目は赤土、3つ目は白砂である。そして、黒仕上げで使う黒土は、ザルで良くこし粒子の細くしたもの。赤仕上げの場合は赤いぼくぼく土(おそらく、細かく整えた粒状粘土の事)を使う。ただし、赤松が植わっている場合、赤仕上げは避ける。白仕上げには白砂を撒く。この仕上げ方法を銀砂と言うが、池のある庭では避ける。また、白仕上げは照り返しが強く夏は暑くなる。いずれにしても、京都(都)ではこのような仕上げをあまり好まない。二次的な手段と考えるべきであろう。

庭に設置した石に関しては、良く洗う事。石に土がついていれば苔が必ず着く。苔と錆とは別物だ。苔は石に着く垢と同じで良くない。ただし、庭の表面に苔が生える事は非常に良い。一方、石や樹木に苔が生えるという事は病気になるという事。だから避けるべきだ。もっとも、石に錆が生じてその錆に苔が着くことがあるが、これは珍重すべきものだ。

この他、石の手水鉢に水垢と苔が着くものがあるが、これも良くない。だから、手水鉢は定期的に洗い、石の状況を絶えずチェックしなさい。全ての、水に関する器等は清潔で無ければならない。綺麗すぎるという事は無い。

18:庭の本質に関する事

庭はどこまで行っても庭だ。露地もどこまで行っても露地だ。そして、どの庭にも内と外がある。露地にも内と外がある。また、書院に付属したような庭は、建物とセットで本当の価値が生まれると心得ておく事。別荘の庭・茶屋に付属した庭も同様である。だから、このような庭には山・水に関するもの・池などを良く作るが、絶えず建物との調和を意識する事。

「山水築山庭造伝・前篇中」 完

そこで本日の一口アドバイス。

「メインの前篇上より、サブの前篇中の方が興味深い! 技術面での参考点多し」

(りょう)

229:にがり

 

 

 

 

 

 

にがり:江戸時代には高価であまり使えなかった?

 

229:真砂土

 

 

 

 

真砂土:江戸時代の「ぼくぼく土」との相違は?