りょうさんの:エクステリア&ガーデンメモ

 

「りょうさんの:ほぼ毎日、エクステリア&ガーデンメモ」・・・NO2,158

 

「日本庭園と日本外構 編」・・・作庭書「築山庭造伝・後篇中②!

「築山庭造伝・後篇中」・・・秋里離島著 1828年の作

注意事項:「築山庭造伝・後編」に関しては、他の作庭書以上に図面・イラストが多用されていると推定されるが、残念ながら中谷ゼミ資料に同添付はない。

3:庭に関する「ほどほど」と言う意味

*書院庭園の大多数は、砂を敷き詰めた平らな庭だ。だから、苔・芝をベースとして作る。庭の平らな部分に仮に砂を敷かなくても、同じような発想で苔や石組による表現を行う。植栽によりその静かで寂しげな状況を作り出す事はあまり行わない。植栽はむしろ少なくして、石組などに70%近くのウエイトを置き、全体構成は大きなアレンジを加えた庭(草)、少しアレンジを加えた庭(行)とする。ただし、石組を設置する場合は基本形(真)を守る事。茶庭も同様で、アレンジ系の庭だが、石組は基本が大切である。

*書院庭園の図を添付しておく。これは、書院の対面に15.5㎡(5坪)〜23.1㎡(7坪)のスペースで、築山と池を設置できない時の図である。街中の屋敷の庭の場合は、80〜90%は敷地が狭く、このようなプランにしないと庭を作る事が困難だ。だが、このような狭小地でも広さが感じられるような演出を試みる事。同時に、涼しげでくつろぎを感じさせるような景観に仕上げなければならない。庭も家本体を作るのと同じだ。

徒然草には、庭は夏を想定して作りなさいと書いてある。冬はどのような場所にでも住むことが出来るが、暑さは暮らしの大敵であるからだ。例えば、多すぎる水は決して涼しさを感じさせない。逆に、少な目で流れのある水は涼しさを感じさせてくれる。そう、庭と言うものは冬に来客があっても、客人にそこで楽しんでももらう事は困難だ。目いっぱい有効に使っても春・夏・秋の3シーズンしか活躍できない。まして、寒さの厳しい地域では、冬は囲いを厳重にして、樹木も雪・霜対策を行い、春・夏の訪れを待つ。

話を戻すが、小さな水の流れは涼を呼ぶ。それは、外見上の事だけではなく、精神的なレベルも引上げて(解脱)くれる。楊誠斎(1127〜1206年。中国・南宋時代の詩人。別名・楊万里)の詩にも「矮屋炎蒸(小さな家は非常に蒸し暑い) 不可居高天爽気亦全無(床や天井が高ければ、爽やかな空気が流れる だが、それが過ぎても良くない) 云々」などと書かれている。要するに「過ぎたるは及ばざる如し」と言う事である。(多すぎる水が風情を壊すように)やりすぎには注意する事。涼しげな表現は大切だが、控えめである事。これが庭作りの奥義と考えなさい。

そこで本日の一口アドバイス。

「吉田兼好・楊誠斎が格調高く登場? でも取って付けたようで・・・」

(りょう)

244:吉田兼好

 

 

 

 

 

 

吉田兼好

 

徒然草244:

 

 

 

 

 

徒然草

 

楊誠斎(楊万里)の書と詩

  • 『誠齋易傳』30巻
  • 『心学論』
  • 『庸言』
  • 『江湖集』7巻
  • 『荊溪州』5巻
  • 『西帰集』2巻
  • 『南海集』4巻
  • 『朝天集』6巻
  • 『朝天続集』4巻
  • 『江西道院集』2巻
  • 『江東集』5巻
  • 『退休集』7巻
  • 『誠齋詩話』