りょうさんの:エクステリア&ガーデンメモ

 

「りょうさんの:ほぼ毎日、エクステリア&ガーデンメモ」・・・NO2,178

 

「日本庭園と日本外構 編」・・・作庭書「築山庭造伝・後篇下」⑩!

「築山庭造伝・後篇下」(最終回)・・・秋里離島著 1828年の作

注意事項:「築山庭造伝・後篇」に関しては、他の作庭書以上に図面・イラストが多用されていると推定されるが、残念ながら中谷ゼミ資料に同添付はない。

18:「庭造伝下」のあとがき

「庭造伝」は以下の行程で纏めた。上巻は庭の基本的な決まりを提示した。中巻は庭の本質とは何かについて述べた。そして、この下巻は代表的作品を紹介した。以上により庭と言うものに対して、余すことなく描写し記することが出来た。だから、「庭造伝」は単に楽しみながら読む絵物語では無い。本当の庭を知ってもらうためのものだ。

また、「庭造伝」で提示した図は、東海道名勝図画(江戸時代後期作の東街道エリア名所案内絵本。前出)にも示されているが、再度取り上げたのは、本当の名庭とはどのようなものかを知ってもらいたかったからだ。既に紹介済みの作品であっても、再度本質を追求すると言う視点で説明する事に、大きな意味がある。同様の意味で図画も取り上げた。

古い作品を見る事で、本当の庭とは何かを会得する事が出来る。だから、東海道云々に掲載されたものと同作品の図も改めて提示した。だから、この「庭造伝」で述べようとした趣旨を理解すれば、どのような庭でも最高の作品を創り出す事が可能になる。

師匠から弟子に全てを伝える事は意外に難しい。また、最近は庭の本質とは何かを伝えられる人がほとんどいない。本質を伝えようとしても、それを理解できる人もほとんどいない。欲得ずくで言っているのではない。流行に乗ろうとして言っているのでもない。ただ、庭というものの本質を伝えたかっただけだ。石燈篭・手水鉢などは、基本をもとにしながらもアレンジした作品が多い。しかし、この「庭造伝」で提示したものは、その本流を示す図である。得体の知れぬものは掲載していない。出所についても同様である。

また、「庭造伝」3偏には、中国・唐の国の庭園資料も参考図とし掲載した。その他、日本の諸国の名庭も取り上げ紹介している。手水鉢と石燈篭では無くても、古くから伝わる庭園資料というものは、貴重でかけがえのないものだ。「庭造伝」の上・中・下3偏を見て、庭の全てを学びなさい。

「庭造伝」で伝えたかった事は、白く輝く(皎然=コウゼン)ようなイメージを秘めた、素晴らしい庭の本質である。この江戸(東都)の町に私(秋里離島)は留まり、賢人の辿るべき道を知り、仏教・神道・一般の人々の庭に対する研究を続けた。そして、その成果を3巻の書物に纏めた。閲覧・熟読すれば素晴らしい教えとなる書物である。

世の中は、表面的なものにしか興味を示さない人が多い。逆に本筋を知る人は少ない。そのような世界で、本当に深く素晴らしいものとは何かを知らせるために、この書物を送り出す。文政年間(1818~1830年)戌虎の年その春に、年老いた筆者(秋里離島)がこの一文を添えて「庭造伝」を出版する。

「庭造伝・後篇下」(完)

そこで本日の一口アドバイス。

「庭造伝ついに完訳終了! さあ、読者の評価はいかなるものか???」

(りょう)

264:文政小判

 

 

 

 

 

 

文政時代に使われた小判

264:シーボルト

 

 

 

 

 

 

 

 

シーボルト(彼もまた文政時代に活躍した)