りょうさんの:エクステリア&ガーデンメモ

 

「りょうさんの:ほぼ毎日、エクステリア&ガーデンメモ」・・・NO2,191

 

「日本庭園と日本外構 編」・・・「対龍山荘」と言う個人庭園!

この項では小川治兵衛の作品「対龍山荘」を紹介します。同建造物は、元薩摩藩士で後に実業家となった伊集院兼常が1896年(明治29年)に建てた別邸。ただし現在の建物と庭園は、彦根出身の呉服商、初代・市田弥一郎へと所有が移った1906年(明治39年)頃に改装されたもの。書院・対龍台、数寄屋造りの建物・聚遠亭等の建造物は、当時の日本屈指の大工・島田藤吉(通称・島藤)の作品、そして庭園は小川治兵衛の作品で、明治期では最高の贅を尽くした物件の1つとも言われています。

「対龍山荘」は京都市左京区の旧南禅寺境内のあり、当然のことながら東山の景観を借景とするなど、周辺の自然と切っても切り離せない環境下にあります。従って、周辺とセットでその魅力が倍加している建造物ともいえ、その意味でも最も小川治兵衛らしい作品と言えます。また、和風建築物・庭園とも明治を代表するものだけに、建物は京都数寄屋名邸十撰・庭園は国に名勝に指定されています。ただし、現在は家具会社ニトリの所有となっており非公開。

「対龍山荘」は(平面図参照)はほぼ西側に書院・対龍台、聚遠亭、茶室等が並び、東側に池泉回遊式の庭園が広がっています。その庭園は、大きく2つに分かれ、北側が池を中心としたメイン部分。南側は水路・遠路等からなる散策・芝生広場等のサブ的部分で構成されています。小川治兵衛らしいバランスの取れた近代庭園と言うに相応しいゾーニングともいえるでしょう。当然のことながら、東側には京都の東山連峰を望むことができ、この借景が建造物・庭園をより優美なものにしています。

北側のメイン庭園は、東方向から水を引き込み、池の手前に大滝を設置。池には中島が造られるなど、水と切っても切れぬ関係にある、文字通りの池泉式庭園。水車小屋・建物前の手水鉢なども庭に趣を添えています。南側の庭園は水路を中心にした部分と、ゆったりと広がる空間から成り立っています。少し気を抜く感じのサブ的空間といえるかもしれません。ただし、この部分の主役もやはり水と言う事が出来るでしょう。その一方で、メイン(北)とサブ(南)のメリハリもこの庭の魅力の1つといえるのではないでしょうか・・・

そこで本日の一口アドバイス。

「水と借景、そしてバランス感覚=小川治兵衛らしい近代庭園?」

(りょう)

277:入口

 

 

 

 

入口付近

 

277:対龍山荘平面図

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「対龍山荘」平面略図

277:書院

 

 

 

 

 

書院「対龍台」

 

277:大滝

 

 

 

 

 

池と大滝

 

277:池と中島

 

 

 

 

池と中島

 

277:書院より

 

 

 

 

書院内から見た庭