みずきりょう の:エクステリア&ガーデンメモ

 

「りょうさんの:ほぼ毎日、エクステリア&ガーデンメモ」・・・NO2,233

 

「日本庭園と日本外構 編」・・・「ボストン美術館天心園」って何だ?

「中根金作」の作品を紹介中。この項からは、海外の作品2つを取り上げます。まずは、「ボストン美術館天心園」から・・・

「ボストン美術館」はマサチューセッツ州ボストン市にあるアメリカを代表する美術館。1870年に地元有志により設立され、アメリカ独立100周年に当たる1876年に開館されました。その所蔵品は50万点を超え、エジプト美術・印象派の絵画・日本の芸術作品等の収蔵で特に有名です。

日本の作品に関しては、岡倉天心(1862〜1913年)、その弟子・冨田幸次郎(1890〜1976年)がコレクションに深くかかわっており、同芸術品のアメリカ流出を手伝ったと言った批判も一時期ありましたが、実際には国内の惨状を救い多数の作品を保護したとして、現在では高く評価されています。

そのボストン美術館内に、中根金作が作庭したのが、日本庭園「天心園」です。当然の事ながら、岡倉天心の貢献にちなみこの名が付けられました。作庭期間は1984〜1987年)。

「天心園」は「ボストン美術館」アジア部門の作品の1つとして、美術品的感覚で鑑賞できる庭園作品にして欲しい・・・このような依頼に即して設計・作庭されました。従って、構図が特に重要視された「枯山水式庭園」となっています。また、石はボストン郊外の御影石と言う地元産出のものが使われ、植物も地元調達されました。その一方で外構に関しては、築地塀の瓦、入口の冠木門の木材等は、日本産のものを使用し、宮大工の手によって建築されました。

「天心園」は、庭に向かって左奥に須弥山を表す石組・滝が設置され、白砂が表現する海の左には亀島・右には鶴島が設けられています。また、島を3つの橋で結んでいます。観賞価値の高いデザインとしながらも、日本の伝統的な組み合わせをあえて採用したと言う事でしょう。同時に、ボストン周辺の代表的な海岸線・柔らかな森の景観も取り入れ纏めたとされており、日米の絆を強く意識した作品でもあります。

なお、同園に設置されている燈篭と石塔は、岡倉天心が日本から持ち込み保存されていたものを、そのまま使用しています。

そこで本日の一口アドバイス。

「観賞価値+日米の懸け橋。そんな意識を反映した中根金作作品=天心園!」

(みずき りょう)

319:ボストン美術館

 

 

 

 

 

ボストン美術館

 

319:入口遠景

 

 

 

 

 

入口遠景&燈篭

 

319:天心園入口

 

 

 

天心園入口(冠木門)

 

319:天心園

 

 

 

 

 

天心園の枯山水

 

319:天心園石組

 

 

 

メインの石組