みずきりょう の:エクステリア&ガーデンメモ

 

「りょうさんの:ほぼ毎日、エクステリア&ガーデンメモ」・・・NO2,237

 

「日本庭園と日本外構 編」・・・「旧飯田十基邸庭園」が語るもの?

「雑木の庭」で著名な「飯田十基」の作品をもう一点紹介しておきます。「旧飯田十基邸庭園」です。

「旧飯田十基邸」は東京都渋谷区のあり、同氏の孫が近年まで住んでいた模様。しかし、2011年初頭に解体され現存しません。従って、残された資料を寄せ集めここに纏めておきます。

同邸宅自体はやや大型ではありますが、いわゆる町屋風の和風住宅でした。庭もまた京都の町屋等に見られるものとどこか似た点があります。ある意味露地に近いかもしれません。ただ、設置されているものを見ると、露地のような窮屈さが無くより、自由な作庭意思を感じる部分があります。このような点が「雑木の庭」と言われる「飯田十基」の真骨頂でしょうか・・・

上記でも分かる通り、「旧飯田十基邸宅庭園」のベースとなっているのは、作り込まない自然観。従って、植栽は雑木がメインですが、ハナミズキ、カルミヤと言った今も住宅の高木として良く使われるものも植えられています。要するに、比較的樹形がスッキリしているものなら何でも使ったと言う事でしょうか。

自然観を大切にした庭だけに、石材も多用されています。掃き出し窓付近の敷石は色調から判断して丹波石でしょう。ただ、ここにもあまりこだわりは見られません。石臼のような生活に使われていた石も雑多に使われているからです。置物系も同様で、石造・五輪塔・燈篭・手水鉢等がこれもまた雑多に設置されています。おそらく、**産出の**名石と言った物を集めるのではなく、身近な全てのものを再利用したのでしょう。蹲踞はどうあるべきと言った、一見自然調に見えるが実は制約だらけと言う露地とこのような点が決定的相違と言えるでしょう。それが、飯田十基イズムと言う事でしょうか?

なお彼には他にも、「渡辺邸庭園」「成吉邸庭園」「野々宮写真感の庭」「吉屋信子(女流文人)邸庭園」「吉田十八邸庭園」など多くの作庭記録が残されています。ただ、一般的に入手できる資料が少ないため、「日本庭園と日本外構」での紹介は以上2作品に留めます。

そこで本日の一口アドバイス。

「雑木の庭とは露地とは一線を画するもの。より自由に身近に楽しむもの・・・」

(みずき りょう)

323:旧十基邸②

 

 

 

 

 

入口付近

 

323:旧十基邸①

 

 

 

 

 

玄関に掲げられた額(サイン)

 

323:十基邸庭園①

 

 

 

 

 

庭には五輪塔・燈篭・手水鉢等の雑多な置物(?)が・・・

 

323:十基邸庭園②

 

 

 

 

 

 

 

自然観を重視した植栽

 

323:屋内より

 

 

 

 

 

屋内から見た庭。丹波石(?)の敷石。奇妙な石造も・・・

 

323:アプローチ

 

 

 

 

 

 

 

雑多なものを使ったアプローチ

 

323:書籍より

 

 

 

 

著書でも紹介