みずきりょう の:エクステリア&ガーデンメモ

 

「りょうさんの:ほぼ毎日、エクステリア&ガーデンメモ」・・・NO2,239

 

「日本庭園と日本外構 編」・・・「万博記念公園日本庭園」とは②?

前項では「万博」とその時に造られた「万博記念公園日本庭園」、その作者「田治六郎」について述べました。引き続き本題となる「万博記念公園日本庭園」の実態に迫りたいと思います。

同庭園は既に提示の通り「万博」への目玉出品作品の一つとして当時の日本政府の肝いりで作成されました。作庭家(設計・監修)は、多くの都市公園事業で業績を残したランドスケーパー「田治六郎」(前項参照)。開園は当然の事ながら「万博」と同じ1970年。そして、重要施設が「万博記念公園」として残され、その最も重要な施設の一つがこの「万博記念公園日本庭園」です。

上記のような経緯で造られた庭園だけにスケールも大きく、面積は26ヘクタールに達し、多様な側面を持っていますが、しいて様式を設定するなら池泉回遊式庭園と言う事に成るでしょう。ただ、多くの来場者を楽しませることが出来ると言う基本目的に加え、日本人は勿論外国人も含め、「日本庭園とは何か」を知ってもらいたいと言う趣旨を持って作庭されています。

従って、日本の歴史・日本庭園の変遷を追えるようにと言う意味で、上代・中世・近世・現代と言う4つの時代様式を反映させたコーナーに分かれ、「庭園博物館」的視点で構成(「万博記念公園日本庭園」案内図参照)されています。

上代庭園部分は、平安時代の日本庭園が再現され、州浜の景観などの表現に力が注がれています。

中世庭園部分は鎌倉時代・室町時代の日本庭園様式を再現し、枯山水部分・池泉回遊式部分と言う2つのコーナーが設けられています。また、室町時代から普及し始め日本文化・庭園文化にも大きな影響をもたらせた「茶の湯」文化も強く意識し、「汎庵」「万里庵」と言う茶室を設置し、周辺に茶庭も造られています。

近代庭部分は江戸時代の大名庭園を再現したもの。ある意味、一般の人々が描く「日本庭園」に最も近いスペースと言えるかも知れません。

現代庭園部分は、鯉が泳ぐ池を中心としたもので、季節の草花を観賞しながら散策できるなど、最も公園的要素の強い庭園となっています。

以上の通り、巨大な空間を持っている、多くの人々が訪れる、日本・日本庭園とは何かを多くの人に伝える・・・このような趣旨をもって作庭されたのが「万博記念公園日本庭園」。従って、単に「日本庭園」と言うより公園色が極めて近い作品です。だからこそ、ランドスケーパー「田治六郎」に最もふさわしい仕事であったとも言えるかも知れません。

「万博の趣旨に沿い、日本と日本庭園とは何かを伝える巨大庭園=万博記念公園日本庭園」

(みずき りょう)

325:日本庭園案内図

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日本庭園案内図

 

325:上代庭園

 

 

 

 

上代庭園:州浜のイメージ

 

325:中世庭園

 

 

 

 

中世庭園:鎌倉・室町の庭園を再現

 

325:茶室「万里庵」

 

 

 

 

中世庭園:茶室「万里庵」とその茶庭

 

325:近代庭園地区

 

 

 

 

近代庭園:江戸時代の「大名庭園」を再現

 

325:現代庭園

 

 

 

 

現代庭園:最も公園的要素の強い空間