みずきりょう の:エクステリア&ガーデンメモ

 

「りょうさんの:ほぼ毎日、エクステリア&ガーデンメモ」・・・NO2,262

 「エクステリア用天然木大研究」第13回・・・「セランガンバツ」の評価とは?

エクステリア材として比較的よく使われている「ハードウッド類」について検証中。この項では「セランガンバツ」を取り上げます。

「セランガンバツ」は日本で最も多く使われている「ハードウッド」であると推定されます。輸入が開始された時期も古く、草分け的存在でもあります。ただ、エクステリア材としてはそれほど著名とは言えません。理由は、材木ルート中心に販売されて来た、従って屋外用だけでは無く造作材としても多く使われている、エクステリア材としては品質に疑問がある・・・などの理由によります。

「セランガンバツ」はフタバガキ科ショレア属の常緑広葉樹で、自生地はフィリピン~インドネシア~インドシナ半島〜インド西南部と広域であるのが大きな特色です。つまり、供給量が豊富であると言う事。従って、名称も多岐に渡り「バンキライ」「バラウ」などの名でも流通。また、単に「バツ」(通称)と呼ぶ場合もあります。ただし、日本の輸入先はインドネシア・マレーシアが主流。

「セランガンバツ」の特性としては、A:木材としての比重(乾気比重)0.94前後で「ハードウッド類」としては軽い B:従ってエクステリア材としては耐久性に疑問 C:色はイエローがかったブラウン D:木目が比較的荒い E:ソリ・ヒネリ・ヒビワレがかなり大きい F:供給量が多く値段も安い・・・などを上げることが出来ます。

また、「メランチ(イエローラワン)」と外見(表面)が非常に良く似ています。理由は、「ラワン材」の定義は「フタバガキ科の木材の総称」で広義に捉えれば「セランガンバツ」も「ラワン」の仲間とも言えるため。ただし、通常「ラワン」と言えば軟質材が多く、「セランガンバツ」のような硬質材が「ラワン」の仲間として取引されることはありません。なお、「ラワン」もインド以東のアジア全域で産出される熱帯を代表する木材。「レッドラワン」「イエローラワン」「ホワイトラワン」など多くの種類が流通していますが、資源が激減しており熱帯雨林問題とも関連し、その保護が国際問題化している事は周知の通りです。

「セランガンバツ」に話を戻すと、上記の特性から「その資質を良く知り有効に使うプロ向きの木材」と言えるのではないでしょうか。要するに、難点を知った上で長所を引き出し使うと言う事。供給が安定しており価格も安いからです。具体的には、耐久性が極めて重視されるデッキ、精度が求められる角柱フェンス等は避けるべきでしょう。その一方で、短尺材を組合した単純な目隠しフェンス等には、価格が安いため向いているとも言える(ただし、デザイン・施工方法を吟味する事)でしょう。

そこで本日の一口アドバイス。

「価格は安いが欠陥も多いセランガンバツ! プロが特性を知り尽くして使う木材?」

(みずき りょう)

13:フェンス

 

 

 

 

 

「セランガンバツ」製の目隠しフェンス

 

13:ウッドデッキ

 

 

 

 

 

同ウッドデッキ(耐久性にやや疑問)

 

13:板材表面

 

 

 

「セランガンバツ」の表面(ラワンに似ている)

 

13:角材

 

 

 

 

 

角材

13:板材

 

 

 

 

板材

 

13:原木

 

 

 

 

 

「セランガンバツ」の原木(材が大きい)

13:自生地

 

 

 

 

 

 

 

熱帯雨林に自生する「セランガンバツ」

 

13:現地製材所

 

 

 

 

 

現地製材所