「りょうさんの：ほぼ毎日、エクステリア＆ガーデンメモ」・・・NO2,263

「エクステリア用天然木大研究」第14回・・・その他の「ハードウッド類」とは？

「ハードウッド類」の「イペ」「ウリン」「アマゾンジャラ」「セランガンバツ」について言及しました。エクステリア材として良く使う天然木ですのでぜひ覚えておいてください。ただ、「ハードウッド類」はこの他にも多種が流通しています。その名称だけでも知っておくと、少し調べるだけで、正しく使われているか否かの判断材料になります。従ってこの項では、日本で流通しているその他の「ハードウッド類」について簡単に列記しておきます。ただし、情報の混乱もあり輸入業者の内容記載にも矛盾があるものも・・・

まず、南米産「イペ」「アマゾンジャラ」以外の「ハードウッド類」について。なお、以下で紹介する南米産樹種は比較的高品質で、供給も安定しており、将来的には普及する可能性が高いものが多いようです。

＊「イタウバ」＝クスノキ科で「ブラジルウリン」の別称も。木材（乾気）比重0.93。アバレ（ソリ・ヒネリ・ヒビワレ、等）が比較的少なく、耐久性も良好。価格も比較的安く安定供給も可能。「ウリン」との共通性が多いが色は薄目。将来性大。

＊「クマル」＝マメ科で「アマゾンバツ」と言った別称も。「レッド・クマル」「イエロー・クマル」の2種があるようだが、日本の流通段階ではほとんど区別されていない。アバレが比較的大きく、耐久性にもやや疑問。値段は比較的安く安定供給も可能。

＊「カンドーレ・マニルカラ」＝アカテツ科で「アマゾンジャラ」の一系統として扱われる事が多い。品質・価格・供給状況も「マサランドゥーバ」とほぼ同じ。ただし、色は「マサランドゥーバ」よりやや薄い。

＊「ガラッパ」＝マメ科で「イタウバ・ネオ」の別称も。ただし、「イタウバ」とは系統が異なる。情報量も極めて少なく、現時点ではエクステリア材として使う事に疑問がある。

続いて、アジア産の「ウリン」「セランガンバツ」以外の「ハードウッド類」について。アジア産は最も多くの樹種が輸入されています。しかし、安定供給・品質に疑問があるものも多く、良く情報を確認してから使うようにしてください。

＊「メルバウ」＝マメ科で「太平洋鉄木」「クイラー」と言った別称も。耐久性は中上と言ったところで、安定供給可能。価格も比較的安い。また、アバレも少ない。このため、アジア産の「ハードウッド類」では、将来普及率が高まる可能性が高い。

＊「クルイン」＝フタバガキ科で「アピトン」「クルイン・バツ」と言う別称も。安価で安定供給も可能。ただし、木材の比重は0.56〜0.88とかなりバラツキがあり、耐久性にも疑問。従って、樹種・外見的には「セランガンバツ」に近いが、エクステリア材としての使用には疑問がある。なお、近樹種で「カンポール・バツ」（カンファーウッド）と言うものもあるが、これもエクステリア材としては不向き。

＊「ケランジ」＝マメ科で「ユーラシアンチーク」と言った別称も。木材の比重は0.9前後。耐久性は中上でアバレも少ない。安定供給も可能。色は薄目のブラウン。現在はオーストラリアでの使用が多く、日本でも将来普及する可能性も。

＊「ジャンブジャンブ」＝フトモモ科で「ノーザンボックス」「トリスタニア」と言った別称も。アバレが少なく材に粘りがある（施工しやすい）。耐久性は中上。外見は「アマゾンジャラ」と似ている。品質的には可能性大であるが情報量は極めて少ない。

＊「ピンカド」＝マメ科でインドシナ半島に自生。「カムセ」等の別称も。樹脂に油分を多く含みアバレも少ない。このため扱いやすい材ではあるが、主に内装用（造作材）として使われており、供給量も少ない。このため、エクステリア材として普及する可能性は少ない。

最後に、西アフリカ産の「ハードウッド」を一種紹介。ただし、日本では殆ど橋梁用として使われ、事故の報告も・・・

＊「ボンゴシ」＝オクナ科で、色はダークブラウンでヨーロッパでは橋梁・公共スペース用として主に使われている。ただし、情報量が少なく、日本での流通量もごく少量。エクステリア材として普及する可能性も少ない。

以上9種（9系統）の「ハードウッド」を紹介しておきます。いずれにしても、熱帯雨林に反する樹木で、自然保護を絶えず考えながら使っていく必要があります。

そこで本日の一口アドバイス。

「多種多様なハードウッドが日本に流入。だが、情報の錯綜もあり良く吟味を！」

（みずき　りょう）