みずきりょう の:エクステリア&ガーデンメモ

 

「りょうさんの:ほぼ毎日、エクステリア&ガーデンメモ」・・・NO2,267

 「エクステリア用天然木大研究」第18回・・・「レッドシダー」の紆余曲折とは?

針葉樹系の「エクステリア用天然木」を紹介中。「レッドウッド」「サイプレス」「SPF材」に続いては、「ウエスタンレッドシダー」を取り上げます。

「ウエスタンレッドシダー」(以後「レッドシダー」)については、まず分類上の確認をしておく必要があります。理由は、「シダー」と言う名称について混乱と誤解があるため。学術的には「シダー」とはマツ科ヒマラヤスギ属の針葉樹を指します(日本の「スギ」とは別系統)。そして、木材の場合北米では「シダー」は針葉樹全般を指すのが一般常識です。従って、「レッドシダー」とはヒマラヤスギの仲間と誤解しやすいのですが、全く別系統の樹木。具体的には北米産のヒノキ科クロベ属の常緑針葉樹を指します。そして、クロベ=ネズコ(木曽五木の一つ)。つまり、北米産のネズコの仲間が「レッドシダー」の正体。

もう少し産地の状況に触れると、カナダのブリティッシュコロンビア州とその周辺が主産地で、高さ60m×直径2mもの大木(日本のネズコも大木になる)に育ち、同州の自然林の20%を占める程豊富な資源量を持っています。従って、木材生産量も多く、本来は価格も中級程度で、エクステリア材として一定のメリットを持っていました。しかし、25年ほど前に異変が起き、その魅力が半減したと言うのが偽らざる現状です。

具体的には、東洋エクステリア(現LIXILのエクステリア部門)がデッキを中心とするエクステリア材として「レッドシダー」の輸入を開始し、良材に限定し大量買い付けを実施(現在は事実上撤退)。その影響で、価格の高騰+材質の低下(良材の確保が困難に成った)現象が発生したからです。そして、現在もその影響が続き、「品質の割には値段の高いエクステリア用天然木」となってしまいました。同社は「レッドシダー」を普及させたと言うプラスと、市場を混乱させたと言うマイナスの両面を持ち込み去って行ったと言う次第!

「レッドシダー」の特性としては、1:芯材(赤身)部分の樹液に防腐・防虫効果のある成分を含み、比較的耐久性に優れている 2:木材の比重(気乾比重)は0.37(日本のスギとほぼ同等)と軽く加工性が良い 3:ソリ・ヒネリ・ヒビワレ(アバレ)は少ない 4:品質と価格を比較すると割高感がある・・・と言った点を挙げることが出来ます。つまり、エクステリア材としては中途半端と言わざるを得ません。従って、エクステリア系(木材系は別)のプロはあまり使わなくなったと言うのが実情です。なお、「レッドシダー」は既に紹介した「レッドウッド(セコイア)」とも全く別系統の木材です。

そこで本日の一口アドバイス。

「品質は中級・価格は中上級。中途半端感がありプロの使用頻度は減少」

(みずき りょう)

18:デッキ

 

 

 

 

 

「レッドシダー」製のデッキ

 

18:外壁

 

 

 

 

 

 

 

同外壁材(このような使い方の方が適している)

 

18:板材

 

 

 

 

 

「レッドシダー」の薄板材

18:角材

 

 

 

 

 

同角材

 

18:原木

 

 

 

 

 

「レッドシダー」の原木(巨木が多い)

18:レッドシダーの大木

 

 

 

 

 

 

 

「レッドシダー」の巨木(自然林)

 

18:ベイスギの葉

 

 

 

 

 

 

「レッドシダー」の葉

 

18:ネズコの葉

 

 

 

 

 

 

「ネズコ」の葉

 

18:ヒマラヤスギ

 

 

 

 

 

 

 

「ヒマラヤスギ」(「レッドシダー」とは別系統の樹木)

 

18:現地の製材所

 

 

 

 

 

「レッドシダー」の現地製材所