みずきりょう の:エクステリア&ガーデンメモ

 

りょうさんの:ほぼ毎日、エクステリア&ガーデンメモ」・・・NO2,315

 「現代住宅植栽考」 第35回・・・「ヤマボウシ」とその仲間たち③?

ヤマボウシの仲間を紹介中。この項では常緑ヤマボウシを取り上げます。常緑樹のシンボルツリー紹介は三羽烏(シマトネリコ・ソヨゴ、ハイノキ)で一応紹介を終了していますが、常緑ヤマボウシは最近少しずつ普及率がアップしているため、ここで補足的にピックアップ。

「謎だらけ・常緑ヤマボウシ」

常緑ヤマボウシはミズキ科ミズキ属の常緑高木ですが、それ以下が判然としません。つまり、ミズキ属ヤマボウシ亜属***とすべきか、ミズキ属***とすべきか曖昧と言う事。つまり、日本のヤマボウシとどの程度近い樹木かよくわからないと言う事。ただし、外見的には常緑で葉肉がやや厚いと言う以外、非常に良く似ています。その意味では、ハナミズキより近い。そんな気もしますが・・・

また、常緑ヤマボウシには、ホンコンエンシス、ヒマラヤヤマボウシ、サマーグラッシー、ガビサンヤマボウシ、月光などがありますが、それぞれの系統・関係は不明(ただし、月光は園芸種)。学名も「Cornus(ミズキ属) hongkongensis」となっていますが、この中にヒマラヤヤマボウシ等も含まれるのか、別系統の樹木なのかも不明です。

原産地については、中国南部〜ヒマラヤ方面と言われています。しかし、そのエリアもまた曖昧で、樹木名から自生地・産地を類推する以外になく、これまた極めて不可解と言わざるを得ません。

分類系統と実際に販売されている各種常緑ヤマボウシの関係も極めて不可解です。例えば代表的なホンコンエンシス、ヒマラヤヤマボウシを比較しても、紹介写真により特性が逆になっているようなものも珍しくありません。具体的には、前者は花ビラ(実際には総包)に丸みがあり、葉は細長い。後者は花ビラが細長く、葉はやや丸みがある。そのような写真が多いのですが、全く別のケースも多数見られ、少なくとも一般人が目にする事の出来る信頼性の高い資料(学術的資料)は殆ど存在しません。

常緑ヤマボウシは中国から輸入された樹木である事はまず間違いありませんが、「売れれば系統などどうでも良い」・・・そんな日本のグリーン業界の節操の無さを強く感じます。従って、筆者の場合は客様から特別な指示が無い限り常緑ヤマボウシは使いません。

もし常緑ヤマボウシについて、学術的立ち位置(正しい分類、各分布系統、それぞれの樹木の特色)、輸入系統と日本への導入歴史・・・などに詳しい方がいるならば、ぜひ連絡を下さい。また、正しい資料を纏め公開していただくよう、この機会を通じお願いしておきます。

そこで本日の一口アドバイス。

「常緑ヤマボウシの不可解な実態。売れれば良いと言う感覚に疑問!」

(みずき りょう)

35:樹形(ホンコンエンシス)

 

 

 

 

 

 

常緑ヤマボウシの樹形(ホンコンエンシス?)

35:花と葉(ホンコンエンシス)

 

 

 

 

 

 

ホンコンエンシス?の総包・花・葉

35:ヒマラヤヤマボウシ

 

 

 

 

 

ヒマラヤヤマボウシ?の総包・花・葉

35:実

 

 

 

 

 

常緑ヤマボウシの実(日本のヤマボウシとほぼ同じ)