みずきりょう の:エクステリア&ガーデンメモ

 

りょうさんの:ほぼ毎日、エクステリア&ガーデンメモ」・・・NO2,318

 「現代住宅植栽考」 第38回・・・樹形ベスト2=カツラ・アオダモ①!

人気のシンボルツリー・落葉樹編。この項からは、スッキリ樹形ベスト2を紹介します。まずはカツラから。

「スッキリの秘密・カツラ」

カツラはほぼ日本全域に自生する代表的落葉樹。ただし、その分布域は朝鮮半島・中国にも広がっており、固有種と言う訳ではありません。また、分布域は日本全体に広がっていると言うものの、冷涼地域の渓流付近等に特に多く、ブナなどと混成している事も珍しくありません。また、巨木に成長し、クスノキ、ケヤキなどとともに、著名な大木が全国に点在しています。

以上のような理由により、ケヤキ・クスノキが比較的温暖な地域の日本を代表する落葉樹なら、カツラ・ブナは比較的寒い地域の日本を代表する落葉樹・・・そのような印象を強く受けます。

分類を見ると、カツラはユキノシタ目カツラ科カツラ属の落葉高木となります。つまり、かなり独立性の強い樹木と言う事。現に、カツラ科自体が1属(カツラ属)のみで、そのカツラ属もカツラ・ヒロハカツラの2種のみとされています。学名は「Cercidiphyllum(カツラ属) japonicum」で、如何にも日本代表と言ったイメージ。

樹木の特色としては、雌雄異株、樹形がスッキリしている、葉が丸くハート形に近い、枝が非常に細い、成長すると樹皮に特有のヒビワレを生じる、紅葉が美しい、暖地ではそれほど成長は早くない・・・などを上げることが出来ます。そしてこの特色の中に、住宅用の庭木(シンボルツリー、等)として高い人気を維持し続けている理由が隠されています。要するに、樹形が美しく特色がある。加えて、ケヤキやクスノキほど成長が早くないと言う点がポイント。

ではなぜこのような特色が出来上がったのでしょうか。それには明確な理由があります。冷涼地帯をカツラは好むことにより、貴重な陽光を受けるため、細く繊細な枝を効率よく広げスッキリ樹形となったと言う次第。同時に、冷涼地帯+渓流と言った環境を最も好むため、暖地の住宅では生育環境が悪く、成長スピードも遅くなります。カツラには可哀想ですが、人間には好都合と言ったところでしょうか・・・

また、カツラは代表的な落葉樹であるため、銘木としても珍重されてきました。最も有名なものが、将棋盤・碁盤。また、長野の善光寺では同寺院のシンボル的樹木(寺を造る木材としても)として大切にされてきました。ちなみに、有名な参道の並木も実はカツラです。以上の記述でも分かる通り、外見的な側面に加え、カツラは日本人に取りロマンを秘めた樹木と言う事も出来ます。余談ですが、筆者が最も好きなシンボルツリー、それカツラです。

最もカツラには誤解も。「桂」は日本では「カツラ」。しかし、中国では「桂(ケイ)」=「キンモクセイ」であるからです。従って、「月」と「桂」を対比した名文・名シーンが多く存在しますが、これは「月」対「キンモクセイ」が正しく、各所で混乱が見られるようです。

そこで本日の一口アドバイス。

「冷涼地帯+渓流。そこに、人気シンボルツリー・カツラの秘密が・・・」

(みずき りょう)

38:株立

 

 

 

 

 

 

 

カツラ(株立)

38:大木

 

 

 

 

カツラの大木

38:紅葉

 

 

 

 

紅葉したカツラ

38:葉と幹

 

 

 

 

 

 

葉と幹肌(共に特色がある)

38:和池の大カツラ

 

 

 

 

 

 

和池の大カツラ(兵庫県・香美町):樹齢1,000年以上・幹周16.4m・樹高38m)

38:和池の大カツラ②

 

 

 

 

 

 

和池の大カツラ②:カツラは冷涼な気候(標高700m)と渓流付近を好む

38:銘木

 

 

 

 

 

 

カツラの無垢材(銘木)

 

38:将棋盤

 

 

 

 

 

 

カツラの将棋盤