りょうさんの:ほぼ毎日、エクステリア&ガーデンメモ」・・・NO2,323
「現代住宅植栽考」 第43回・・・魅力一杯、ナンテンとその仲間達③!
人気・お勧めの中・低木。その中からナンテンの仲間を紹介中です。といっても、ナンテン属とヒイラギナンテン属に分かれており、この項からはヒイラギナンテン属を取り上げます。
そのヒイラギナンテン属に関しても、庭木の場合、文字通りヒイラギ(全くの別系統樹木、モクセイ科モクセイ属)に近い葉を持つ系統と、細長い葉を持つ系統に2分されます。この項では、ヒイラギに近い葉の系統から・・・
「一見ヒイラギ?・ヒイラギナンテン+α」
まず本家ヒイラギナンテンの学術的分類から。メギ科メギ属ヒイラギナンテンと表示されている場合と、メギ科ヒイラギナンテン属ヒイラギナンテンと表示されている場合があります。従って、前者の学名は「Berberis(メギ属) japonica」となり、後者の学名は「Mahonia(ヒイラギナンテン属) japonica」と表示されています。我々と関係が深いガーデン系では殆どが後者表示を採用しており、同系統の英語植物名の大半が「マホニア***」と表記されているのはこのため。なお、Mahoniaと言う属名は、植物学者バーナード・マホンに由来するもの。
私たちが目にするヒイラギナンテンは殆どが樹高50㎝程度ですが、実際には2m程度まで育ちます。原産地は中国〜台湾。その他の特色としては、常緑低木、葉がヒイラギに似ており刺がある、冬場に少し紅葉、冬〜春に黄色い花を付ける、その後紫色の実となる、育てやすく管理も楽・・・など。また、公共スペース・住宅などで手軽な低木として多用されている事は周知の通り。ただ、葉に刺があるので、最近は住宅での使用が若干減っているかもしれません(多少防犯に役立つかも知れないが)。
面白いのはその学名。日本代表のようなJaponicaですが、前記の通り原産地は中国など。日本に入ってきたのは江戸時代とされており、学名を付ける時に何か勘違いがあったのかも知れません。
なお、ヒイラギナンテンの類似植物としてマホニア・チャリティーと言う名前をよく耳にします。これは、ヒイラギナンテン×ロマリフォリアの園芸種。外見的には殆ど相違がありませんが、マホニア・チャリティーの方が大型。従って、現実的には正しい素性は無視され、小ぶりのものをヒイラギナンテン、やや大型に育つものをマホニア・チャリティーとして扱われていると考えた方が良いでしょう。
また、ヒイラギナンテン属はナンテン属より大きなグループ。約70属に及び、中国〜北米〜中米と幅広いエリアでその仲間が自生しています。その中で、細葉系統のものが最近良く出回るようになりました。次項ではその細葉系を取り上げます。
そこで本日の一口アドバイス。
「ヒイラギのようでヒイラギで無い。それがヒイラギナンテンの仲間?」
(みずき りょう)
ヒイラギナンテンの樹形
葉(ヒイラギによく似ている)
冬〜春に黄色い花が咲く
やがて紫色の実となる
大きく育つマホニア・チャリティー
マホニア・ロマリフォリア