みずきりょう の:エクステリア&ガーデンメモ

 

りょうさんの:ほぼ毎日、エクステリア&ガーデンメモ」・・・NO2,333

 「現代住宅植栽考」 第53回・・・生垣の新御三家&+αとは④?

生垣の新御三家を紹介しました。従って、この項では+αについて述べます。このように書くと、+αが随分意味深長のように感じますが、残念ながらそうではなく、広い意味では生垣だが、一般のイメージとは少し違った使い方なので+αとしただけ。筆者はこの使い方を「列植」と表現しています。そして、この列植に多用される植物が、今回紹介のシラカシです。

「列植用樹木の主役・シラカシ」

シラカシはブナ科コナラ属の常緑高木。樹高20×枝・葉幅8m程度にまで成長します。分布地は福島県以西(南)の本州。ただし、関東地方の照葉樹林に特に多く、本州南岸では個体が少なくなります。つまり、あまり暑さを好まない樹木と言えるかも知れません。学名は「Quercus(コナラ属) myrsinifolia」。

この他の樹木の特色としては、①:樹皮は黒く比較的木肌木目が細かい ②:葉は5〜12㎝で細長くヘリは鋸状 ③:花は雄花・雌花に分かれ5月頃開花、ただし目立つものでは無い ④:秋には一般的にドングリと呼ばれる実を着ける ⑤:カシの仲間では葉・枝の横張りが少なく、樹形が比較的スッキリしている ⑥:丈夫で育てやすく安価 ⑦:木材は硬く重く弾力に富む・・・などを上げることが出来ます。なお、シラカシと言う名前は材木の色が白いため付けられ多もので、外見とは無関係(樹皮の色から「クロカシ」と呼ぶ事もある)。

以上の中で庭木として使う場合に特に注目すべきは⑤⑥⑦の3項目。つまり、「樹形が比較的スッキリしている代わりに、横にそれほど枝・葉を張らず、育てやすく安価」な樹木であると言う事。従って、住宅の場合シンボルツリーとしての使用も可能(株立あり)。ただし、現実にはあまりにも身近すぎて(少し安っぽいイメージがあるのかも知れない)殆ど使われていません。

その一方で、敷地境界などの丈夫で背の高い仕切り用として、近年より多用(ただし、目隠しを主目的とした生垣にはあまり使われない)されるようになっています。そして、筆者はこの使い方を「列植」と呼んでいます勿論、「新御三家&+α用樹木」として取り上げたのもこのためです。ある意味、「列植」はシラカシの独壇場と言えるかも知れません。

なお、カシ(樫)類の定義ですが、これが意外に難しい。コナラ属の樹木自体が落葉系・常緑系と多岐に渡っているうえ、常緑系の中にはシイの仲間なども含まれるからです。従って、コナラ属の常緑樹木の中で、「一般的にカシの仲間と呼ばれている植物の総称」とでも表記する以外にありません。日本にもカシの仲間は10種以上生息していますが、身近なものとしては、シラカシ、アラカシ、ウバメガシ、アカガシ(オオガシ)などがあります。ただし、現在住宅用庭木としては多用されるのは、シラカシのみと言っても良いでしょう。

そこで本日の一口アドバイス。

「シラカシの独壇場=列植。スッキリお洒落な境界用として有効活用を!」

(みずき りょう)

53:樹形

 

 

 

 

 

 

シラカシの樹形:あまり左右に枝・葉を張らない

53:列植

 

 

 

 

 

 

シラカシの列植:目隠しを主目的としたものでは無い

53:花と葉

 

 

 

 

花と葉:花は目立つものでは無い

53:葉とドングリ

 

 

 

 

実と葉:一般的にドングリと呼ばれる典型的なもの

53:井永のシラカシ

 

 

 

 

 

 

井永のシラカシ:広島県府中市。樹高15m×幹周4.5m

53:アラカシ

 

 

 

 

 

 

アラカシ:身近なカシ。公園などに良く植えられる