みずきりょう の:エクステリア&ガーデンメモ

 

りょうさんの:ほぼ毎日、エクステリア&ガーデンメモ・・・NO2.276

「天然素材の魅力」第9回・・・疑問だらけの「セランガンバツ」!

アジア産の「ハードウッド類」を紹介中。この項では、「ウリン」に続き「セランガンバツ」を取り上げます。ただし、流通量は多いがエクステリア材としては疑問だらけ。

<使い方を限定すべき「セランガンバツ」>

「セランガンバツ」に関する資料:原産地=フィリピン~インドネシア~インドシナ〜インド。流通名=セランガンバツ、バンキライ、バラウ、等多数。樹種=フタバガキ科の常緑広葉樹<学名=Shorea(属) spp(特定できない)。つまり複数のShrea属の樹木が「セランガンバツ」として流通している>。気乾比重=0.9前後(かなりバラツキがある)。

「セランガンバツ」はかなり古くから日本に入ってきている「ハードウッド類」の一つ。ただし、価格は安い(「ハードウッド類」では最も安いのではないか)が、エクステリア材としては多くの疑問点を持っています。このため、材木ルートでの取扱比率が高く、エクステリアの専門店ではあまり使いません。産地もフィリピン~インドまでと広範囲で、多くの名称で流通。ただし、正式名より日本では「準ハードウッド」的扱いで「バツ類」としてひとまとめにされているケースが目立ちます。

学術的に見ると、「セランガンバツ」はフタバガキ科ショーレア属の複数種の樹木と言う事に成り、種の限定は不可能です。従って、材質もバラツキも多く、気乾比重も0.96〜0.88程度まで様々。ただし、比較的色の薄い材が多い、木肌は洗い、ソリ・ヒネリ・ヒビワレが多い、耐久性に疑問・・・などの共通点もあり、エクステリア材として使用する場合は、「ハードウッド」と言うより「準ハードウッド」とすべきでしょう。

ただし、前述のように価格が安く・流通量が多いと言う、取扱メリットもあります。以上を考慮すると、デッキ、長尺材を使う現場、角柱フェンス・門柱などには不向き。しかし、短尺材(1m内外)しか使わない目隠しフェンス等、その特性を熟知し使用すれば、コスト的なメリットも出てくるのではないでしょうか・・・。

なお、「セランガンバツ」は熱帯産木材の王者「ラワン類」(各所で絶滅が危惧されている)と非常に近い樹種。つまり、比較的柔かい材の場合は「ラワン類」、逆に比較的堅い材の場合は「セランガンバツ」または「バツ類」として流通している。そう解釈して良いでしょう。いずれにしても、資源が豊富であるから乱伐しても良いと言う事にはならず、自然保護を考えながら大切に使っていく必要があります。

そこで本日の一口アドバイス。

「準ハードウッドとして扱うべきセランガンバツ。適正使用でコスト的メリットも?」

(みずき りょう)

9:樹木セランガンバツ

 

 

 

 

 

 

 

樹木「セランガンバツ」(フタバガキ科ショーレア属)

9:樹木セランガンバツ②

 

 

 

 

 

 

 

「セランガンバツ」の幹

9:原木

 

 

 

 

原木:「バツ類」として一括扱いされることが多い

9:色と木肌

 

 

 

 

 

 

 

色と木肌:バラツキはあるが比較的色が薄く木肌は粗い

9:板材

 

 

 

 

板材