みずきりょう の:エクステリア&ガーデンメモ

 

ほぼ毎日:エクステリア&ガーデンメモ・・・NO2,277

「天然材の魅力」第10回・・・「メルバウ」の可能性を探る?

アジア産の「ハードウッド類」を紹介中です。ただ、現在のところ「ウリン」(ビリアン)に勝るものはありません。しかし、同材の産地はボルネオ島に限定され、資源量にも限りがあります。事実、伐採管理が厳格になると共に(当然そうあるべきだが)、日本への輸出量も限定されつつあり、徐々に価格も上昇中です。

そこで、一定の耐久性・品質を備え、安定供給可能で、価格ももう少し安い「ハードウッド」はないのか。こんな要望も高まって来ています。そこで、この「天然素材の魅力」シリーズでも、次世代アジア産「ハードウッド」を探してみました。その結果、候補NO1の可能性を持つのが「メルバウ」。ではその実態とは・・・

<「メルバウ」の利点と疑問点>

「メルバウ」に関する資料:原産地=インドシナ・マレー半島〜東南アジアの島々〜ニューギニア。名称=メルバウ(インドネシア)、インピール(フィリピン)、クウイラ(ニューギニア)、太平洋鉄木(日本の一部流通名)、等。樹種=マメ科<学名=Instia(属) spp(特定できない)。つまり、マメ科インスティア属の複数樹木が「メルバウ」として扱われていると言う事)>。気乾比重=0.74〜9.0。木肌はやや粗くチョーク状のものが混入。

上記資料から、「メルバウ」は比較的安価で安定供給が可能であることが分かります。それでは品質面ではどうでしょうか。まず耐久性ですが、「ハードウッド類」としてはそれ程重くなく、<一定の耐久性はあるが「ウリン」と比較するとかなり劣る>と言ったところでしょう。ズバリ、屋外使用では10〜20年と言ったところでしょうか(「ウリン」の評価は30年程度)。一方、ソリ・ヒネリ等に関してはかなり少なく、この面の評価は上々。

実は、「メルバウ」は新しく輸入された木材ではありません。だが、高級フロア材など住宅内の造作材としての使用が大半で、エクステリア材としての実績はかなり少ないのが現状。従って、耐久性については木材データから類推する以外になく、不安が残る事も事実。ただ、少なくとも「セランガンバツ」よりは評価が上と言えるでしょう。従って、品質・安定供給・価格など総合的に見ると、アジア材では将来性NO1と評価して良いでしょう。

では、「メルバウ」以外のアジア産「ハードウッド」で有力候補は? 品質的には「ジャンブジャンブ」(フトモモ科。ノーザンボックス・トリスタニア等の別称も)、「ケランジ」(マメ科。品質面では良。ただし、日本での販売実績は極めて少ない)の2種が期待大。しかし、両社とも日本での販売実績が非常に少なく、多くの部分で???

他にも、アジア産の「クルイン」(フトモモ科)・「ピンカド」(マメ科)、南米産の「ガラッパ」(マメ科)、アフリカ産の「ボンゴシ」(オクナ科)など多数の「ハードウッド類」が知られていますが、総合的に見てあまり期待できるものではありません。

以上、「ハードウッド類」を総合評価すると、「ウリン」がNO1、価格面を無視すればほぼ同等の評価で「イペ」。続いて、やや品質の問題(ソリ・ヒネリが大きい。ただし耐久性は心配なし)はあるが「アマゾンジャラ」がNO2。さらに期待度を含めると「イタウバ」がNO3。「メルバウ」がNO4。こんなところでしょう。

そこで本日の一口アドバイス。

「アジア産では期待度NO1のメルバウ。ただし、耐久性にやや不安も・・・」

(みずき りょう)

10:原木

 

 

 

 

 

 

 

「メルバウ」の原木:40m以上の巨木に育つため、原木の大型の物が多い

10:板材

 

 

 

 

 

 

 

「メルバウ」の板材:ソリ・ヒネリは少ないが、耐久面でやや不安

10:木肌

 

 

 

 

 

 

 

木肌:やや粗く、チョーク状のものが混入

10:ケランジ

 

 

 

 

 

「ケランジ」:オーストラチアではよく使われるが、日本での実績は極めて少ない。