りょうさんの:ほぼ毎日、エクステリア&ガーデンメモ・・・NO2,293
「天然素材の魅力」第26回・・・「ソルンフォーヘン」と言う貼石?
「敷石」に続き、この項からは現代住宅で良く使われる「貼石」について検証します。と言っても、「敷石」と「貼石」を明確に区別する定義はありません。比較的厚みのある石材を使い、「敷石」と「貼石」の中間的な施工を行う事も珍しくないからです。ただし、「天然素材の魅力」シリーズでは、①薄手の石材を、土間コンクリートのようなしっかりとしたベースに固定(貼り付け)する工法 ②:「敷石」と異なり壁・塀などの垂直面でも使用できる工法・・・と言った点を「貼石」の概念としてとらえておきます。ただし、技術力(職人育成)の問題で、近年のエクステリアでは<垂直面の「貼石」>は非常に少なくなりました。残念な事です。
また、「貼石」と一口に言っても、「乱形」「方形」、同じ「乱形」でも和風と欧米風の相違、貼り方の基本ポイント・・・等、様々な説明が必要となります。ただしその前に、最近多用されている「貼石」の代表となる「石材」について確認しておきます。素材の知識が作品作りの重要な要素にもなるからです。
<「貼石」に使う代表的石材>
最近「貼石」として多用される「石材」としては、「ソルンフォーヘン」「石英岩」「鉄平石」「玄昌石」などを上げる事が出来ます。まずは「ソルンフォーヘン」から。
「ソルンフォーヘン」=「石灰岩」でヨーロッパを代表する石材の1つ。ドイツ南部(第二次世界大戦終結時の重要裁判で有名な都市「ニュルンベルグ」の南50㎞前後の所)で採掘。ジュラ紀の地層にある「石灰岩」(従って、「ジュラストーン」と呼ぶ事もある)で、同期のシダ類・始祖鳥などの化石が大量に出る事でも有名。色はイエロー系で、比較的硬質の「石灰岩」。また、薄く剥離する性質を持つ。このため「貼石」として使われることが多い。ただし、一定の吸湿性があるため、白く変色する、カビ・コケが付く、凍結融解にやや弱い・・・などの弱点?があるため、使用頻度はやや減ってきている。
「石灰岩(ライムストーン)」=サンゴの死骸が堆積してできた岩石。炭酸カルシウム(CaCo3)を50%以上含む岩石。微量成分により多様な形状・色となる。世界中で産出。産業用としても、セメントの原料、消石灰などの農業用、など多様されてる。また、主要な建築・造園石材でもある。熱変成し結晶化した物が「大理石(マーブルストーン)」。
そこで本日の一口アドバイス。
「ヨーロッパを代表する石材・ソルンフォーヘン! そこには歴史とロマンも・・・」
(みずき りょう)
「ソルンフォーヘン」の採掘現場。ドイツ南部(「ニュルンベルグ」の南約50㎞。「ミュンヘン」の北)
「始祖鳥」の化石。「ソルンフォーヘン」の採掘現場からはジュラ紀の化石が多数発見されている
「ソルンフォーヘン」の施工例。
「貼石」用の「ソルンフォーヘン」(乱形)