年頭所感 「本当の豊かさとガーデンライフ」

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2017年 年頭所感

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egg-代表:藤田 哲夫

 

新年あけましておめでとうございます。

様々な憶測が流れる中で2017年がスタートしました。そして、不確定的要素が目立つ社会であればこそ、私たちは自分自身をしっかりと見つめ、かつ、日々の暮らしを大切にしていく事がより重要になるのではないでしょうか。

そして、日々の暮らしをより充実したものとするための極めて大切な要素が<ガーデンライフ>にあることを再確認し、お客様とともに<より素晴らしいガーデンライフとは何か>を本年も追及していきたいと思います。それが、家族の絆を深くし、暮らしを豊かにし、かつ、素晴らしい文化を創造する! そう信じているからです。

実は、文明のある所に必ずガーデンが存在し、素晴らしいガーデンがある所に必ず豊かな文化が生まれました。

歴史的に証明された世界最古の庭園は漢(中国)の武帝が再建した「上林苑」と言われています。そして、漢には当時の世界最高峰の文化がありました。また、それ以降も中国では各種の庭園が造られ、そこから各時代を牽引する文化が生まれました。

一方、中東ではペルシャ文化の発生とともに、サラセン式とも言われる砂漠の脅威から暮らしを守る建造物・塀で囲われ、かつ豊かな水を引き込んだ庭園が造られ、ヨーロッパにも多大な影響をもたらせました。

そのヨーロッパでは、最初にペルシャの流れを汲むイスラム文明との接触頻度が高かった、地中海諸国(現在のイタリア・スペイン、等)などが庭園を造りはじめ、特にイタリアでは自国の地形と融合させた幾何学識庭園「露段式庭園」を創出。さらに、その技法がフランスに伝わると、より広大な「平面幾何学識庭園」が登場。その代表が「ベルサイユ宮殿」の庭園であることは周知の通りです。

さらに時代が下り、幾何学式の庭園がイギリスに伝わると、それに対する批判から、より自然と融和した庭が生まれ、イングリッシュガーデンなど現代庭園の原型となりました。言うまでもなく「風景式庭園」と呼ばれる数多くの名園です。

そして、以上の流れでより大切な事は、これらの名庭は絶えず豊かな文化とセットであったという事。勿論、現在のガーデンの先進地域ともいえる、ヨーロッパ・アメリカ・ニュージーランド、等ではその豊かな文化が引き継がれ、そこで暮らす人々の暮らしにも多くの学ぶべきものがあります。

では、日本は・・・

実は、世界屈指の庭園王国でした。歴史認知された段階から見ても、飛鳥時代には中国の影響を受けた庭園(飛鳥苑池)が造られ、以後「寝殿造庭園」「浄土式庭園」「武家造庭園」、さらに室町時代に入ると、より進化した「池泉回遊式庭園」「枯山水式庭園」「茶庭の原型」などが登場。その後、戦国時代にはやや衰退したものの、それでも「武家造り庭園」が造られ、安土・桃山時代に入るとより豪華絢爛たる庭園が早くも登場。その一方で、茶道と関連し、特異な進化形とも言える「露地」にも注目が集まります。

少し話はそれますが、室町時代の北山文化以降、極めて重要な文化・デザインの流れがあったことを再確認しておきます。そては、モダン系文化・デザインの登場です。これは、他に類を見ないもので、世界の流れ(絶えず装飾重視の文化・デザインであった)と比較すると、何と600年ほど先行しています。

話を戻します。江戸時代に入ると日本庭園の黄金期を迎え、多くの「大名式庭園」と呼ばれる巨大&総合庭園が登場。その代表都市である江戸は総面積の50%近い面積を庭で占められていたとも・・・

幕末〜明治~大正〜昭和中期にかけても、日本人の庭園好きは変わらず、例え経済(物質)的には貧しい時にも、庭を大切にし、それと並行して高い文化度を維持してきました。

しかし、戦後の住宅ブーム、特に1970年代以降に大きな変化が見られるようになりました。それは<新築住宅からプライベートガーデンが消える>と言う珍現象で、現在も続いています。より深刻な事に、その変化とほぼ同時進行で<日本人の文化度がレベルダウンした>そう思えてなりません。

だからこそ、私たちにはプライベートガーデンを取り戻し、ガーデンライフをより楽しみ、そしてより充実した現代文化を創造する努力が必要ではないでしょうか。

都市部の狭小敷地住宅でも、屋上・ベランダ・カースペースの上、フロントガーデンの一部など、プライベートガーデンを確保できる空間は必ずあります。そこで、住まいで過ごすよりゆったりとした時間、家族と過ごすより充実した時間を取り戻そうではありませんか。勿論、そこから新たな日本文化が・・・