みずきりょう の:エクステリア&ガーデンメモ NO3,022

「天然素材の魅力」第55回・・・工夫して使おう「ジャノヒゲ」の仲間!

推奨匍匐性グランドカバーを紹介中。今回は「ジャノヒゲ」の仲間を取り上げます。ガーデン用としては草丈の短い「タマリュウ」が多用されますが、<便利ではあるが使い方に工夫の余地がある>グループでもあります。

<何でも「タマリュウ」は過去の話>

「ジャノヒゲ」=分類はキジカクシ科ジャノヒゲ属ジャノヒゲ。多年草。自生地は東アジア・フィリピン・日本、等。学名は「Ophiopogon(ジャノヒゲ属) japonicus」。長さ10~20㎝の細長い葉が特徴。花期は夏で、花序を伸ばし薄紫の小さな花を咲かせる。その後、青色の実となり長く観賞用として楽しめる。根は太く紡錘状で食べられる(ただし、要加熱)。また、咳・強壮用の漢方薬・麦門冬(バクモントウ)の原料にもなる。「タマリュウ」は葉長を短く改良した園芸種。

「ジャノヒゲ」の仲間は日本の風土になじんだ(従って育てやすく管理が楽)草花です。しかも、草姿がシャープ、緑色が鮮やか、青い実を観賞用として楽しめる・・・などの特色があり、より草丈を短くし使い勝手の良い「タマリュウ」は匍匐性グランドカバーとして多用されてきました。ただし、匍匐性グランドカバーと言えば「タマリュウ」オンリーと言った風潮が長く続き、大きな反省材料にもなっています。この慣習がエクステリア発展のマイナス要因にもなってからです。

特に、目地部(草目地)、階段脇、アプローチ周辺などに「タマリュウ」を使う頻度が高く(エクステリアショップ・施工業者によっては「タマリュウ」しか使わないと言ったところも・・・)、問題も発生しています。理由は、「ジャノヒゲ」の仲間は育てやすいが、決して乾燥(強い直射日光)、踏み付けには強くないため。

確かに、「ジャノヒゲ」の仲間は草姿がシャープで、モダン系住宅(特に「和モダン」)に適したグランドカバーで魅力的。だからこそ、もっと使い方を工夫し、その長所を活かすべきです。例えば、草丈の長短の使い分け(「ジャノヒゲ」&「タマリュウ」)、カラーの使い分け(「タマリュウ」「コクリュウ(葉色が黒い)」「斑入り種」との組み合わせ)、それに他のグランドカバーとの組み合わせ・・・などにより、もっと選択肢を広げていくべきでしょう。

最後に名前に関するエピソード・・・「ジャノヒゲ(蛇の髭)」は葉が竜の髭のように細長いため付けられた名。従って、「リュウノヒゲ(竜の髭)」と言う別名も。しかし、これは違いで、正解は「ジョウノヒゲ(尉の髭)」。この意味は能の翁面の顎鬚をイメージしたものです。しかし、現代人にとっては馴染みの薄い対象で、いつのまにか「リュウノヒゲ」に転化したのも納得の行くところ・・・

そこで本日の一口アドバイス。

「タマリュウ系にはもっと工夫を! 草丈・色・多種との組み合わせ・・・」

(みずき りょう)

55:ジャノヒゲ

 

 

 

 

 

 

 

基本種「ジャノヒゲ」

55:花

 

 

 

 

淡く青みを帯びた花

 

55:実

 

 

 

 

 

青く鮮やかな実

 

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「タマリュウ」:草丈の短い園芸種

 

55:草目地

 

 

 

 

目地に植えられた「タマリュウ」

 

55:コクリュウ

 

 

 

 

 

 

 

「コクリュウ」:カラーリーフとしても・・・

55:斑入

 

 

 

 

 

「斑入り種」