みずきりょう の:エクステリア&ガーデンメモ NO3,092

「納得!エクステリア講座」第25回・・・<3種の「和風」>その相違と特性?

「和風」の歴史を探りました。おおよその流れを掴んで頂けたでしょうか? 今回は、それを前提に現代のエクステリアでも生きている「純和風」「新和風」「和モダン」について検証します。

<3種の「和風」=3種類のデザインではない?>

現代のエクステリアでは、「純和風」「新和風」「和モダン」と言うデザイン分類が良く使われます。では、この3種とはどのようなデザインの事で、それぞれどのような特徴を持っているのでしょうか? それを確認する為、まずそれぞれの特性を提示しておきます。

「純和風」:寺院・豪邸の「重厚な門・塀」で囲まれ、内部に「和風庭園(造園)」が造られたようなタイプ。その呼称が示している通り、典型的(あるいは伝統的)な「和風」の外構・庭園(造園)と思われているが、日本建築・庭園の歴史を観ても分かる通り、必ずしもそうとは言えない。また、このようなタイプの外構・ガーデンが造られることはごく希。

「新和風」:特別なデザイン定義があるわけではない。むしろ、現代風にアレンジされた「和風」・・・と言った柔軟な解釈をすべきであろう。特徴としては、雑木を多く使う・全体に軽い感じ・ガーデン部を塀で囲わない場合もある・従ってフロントガーデンの外部から見える部分にも良く使われる、と言った点を挙げることが出来る。「和モダン」≒「新和風」と解釈する事も多いが、厳密に言うと間違い。

「和モダン」:モダン系でシンプルでシャープなイメージ。ただし、「室町時代」に登場した伝統的デザインで、「書院造」「数寄屋造」「露地(茶庭)」と言ったものが大きく影響しており、新しい「和風」と解釈するのは誤り。直線&幾何学的ライン(円形、等)・単純な色使い・雑木や繊細な感覚を重視した植栽、と言った特性を持つ。また、「和」「洋」を問わずモダン系エクステリアが主流となっており、「和モダン」が<「和風」復活>の要因にもなっている。

日本人に取り「和風」は欠かせないものです。エクステリア(住まいの屋外空間)についても同様。それは長い伝統と生活に染み付いたものであるからです。ただし、誤解や誤った認識で敬遠される・質の悪い使い方をされる・・・と言ったマイナスの動きがあったことも事実。無理に「和風」にこだわる必要はありませんが、その長所をもっと引き出し、有効活用すべきでしょう。場合によっては、全体は「洋風」でも部分的には「和」と言った使い分けも面白いでしょう。

そこで本日の一口アドバイス。

「純和風・新和風・和モダンの違いとその特性を理解。そして暮らしをエンジョイ!」

(みずき りょう)

 

25:純和風

 

 

 

 

 

 

 

「純和風」・・・素晴らしい外構・ガーデンデザインである事は言うまでもない。ただ、このようなタイプが伝統的「和」の代表であったかと言うと、必ずしのそうではない。むしろ、江戸時代以降の「大名庭園」が各所で造られるようになり、主流のイメージが出来上がったと言える。

 

25:新和風

 

 

 

 

 

 

 

「新和風」・・・「和」の良さを現代生活に有効活用したもの。<これが「新和風」>と言った定義はないが、このように塀を造らないオープンスタイルにも良くマッチする。ある意味、「純和風」以上にセンスが問われるデザインと言えるかも知れない。

 

25:和モダン

 

 

 

 

 

 

「和モダン」・・・「和モダン」は一見現代的だが、むしろ<伝統的「和」>とも言える。それは、「書院造」「数寄屋造」「露地(茶庭)」等と深いかかわりがあるため。世界に先駆け<モダン系>を登場させたのは日本である事も忘れてはならない!