みずきりょう の:エクステリア&ガーデンメモ NO3,094

「納得!エクステリア講座」第27回・・・緊急報告!ブロックはなぜ人命を奪う①?

エクステリア(住まいの屋外空間)のデザインについて言及しました。本来ならば、今回から技術面にメスを入れる予定でした。しかし、大阪(震源地北摂エリア)の地震でブロックが大問題となりました。eggとしても見逃がすことが出来ない事件であり、<ブロックについての緊急報告!>をその前に・・・

第9章 ブロックは欠陥商品!

<ブロックの正体とは?>

地震で倒壊したブロック。ただし、全てのコンクリート・ブロックが対象となった訳ではありません。私たちの廻りには雑多なコンクリート・ブロックがあるため。このうち、「型枠ブロック」「間知ブロック」「スタンダード(普通)・ブロック」などが良く知られています。

「型枠ブロック」とは本来は土留めに使うもので、孔が大きく、仮積みした後その孔にコンクリートを充填。構造的にもRC造となり、外観はブロックですが、むしろRC擁壁に近い物です。勿論、強度面でも優れており、地震による倒壊例も殆どありません。「間知ブロック」も土留め用ですが、完全な土木用ブロックで、傾斜を付けて積むため、一般的なブロックとは異なります。

つまり、今問題となっているのは「スタンダード・ブロック」だと言う事。勿論、私たちが最も多く目にするブロックで、高さ19㎝×幅39㎝サイズが一般的。厚みに関しては10㎝・12㎝・15㎝・19㎝などがあり、施工条件により使い分けます。また、表面に様々なデザインが施された「化粧ブロック」と呼ばれる商品もありますが、外見が異なるだけで同系ブロックとなります。

そして、ここで確認しておきたいのが「スタンダード・ブロック」の構造。左右に凹み・中央部に孔があり、ここに鉄筋を入れ補強するようになっています。ただし、この凹みや孔はコンクリートを充填するものでは無いと言う事。この結果、「スタンダード・ブロック」の構造は<組積造>に属する<補強コンクリートブロック造>と言う事に成ります。

少し学術的な説明となりましたが、要するに石やレンガと同じ<組積造>で、この工法は元来地震に弱く、それを補てんする為<鉄筋を入れ補強>しなさいと言う事。また、それでも不安が残り、塀の内側に<控え壁>と言うものも造りなさいと言う規定もあります。勿論、地上からは目に見えない地中部分(基礎)にも細かな基準が設けられています。

そして、「そうか、工事規定を守る事が大切なのだ」誰もがそう考えます。勿論、その答えは<正解>です。でも、「スタンダード・ブロック」は、関東大震災(1923年)以来約100年に渡り多くの人の命を奪い続けています。しかも、今後も奪い続けると考えられます。何故でしょうか?

そこで本日の一口アドバイス。

「正しい施工法があるのに命を奪い続けるスタンダード・ブロック。その理由は?」

(みずき りょう)

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ブロック倒壊による死亡事故現場・・・擁壁の上に後付でブロックが積まれていた。「スタンダード・ブロック」倒壊での死亡事故は圧倒的にこのタイプの現場が多い。

 

赤城商会・間知ブロック

 

 

 

 

 

 

 

「間知ブロック」の施工現場・・・「間知ブロック」はこのように斜めに設置し、「スタンダード・ブロック」とは形状・構造共に全く異なる(赤城商会HPより)。

 

赤城商会・型枠ブロック

 

 

 

 

 

 

 

「型枠ブロック」の施工現場(スプリット化粧タイプ)・・・「型枠ブロック」は外見上は「スタンダード・ブロック」と似ているが、大きな孔にコンクリートを充填する構造となっており全くの別物。強度面でも優れている(赤城商会HPより)。