みずきりょう の:エクステリア&ガーデンメモ NO3,033

「世界のガーデン」 第四章:イラン以外のペルシャ式庭園②

第15回:「ラホール城」&「シャーラマール庭園」

イラン以外の「ペルシャ式庭園」を紹介中。インドの「タージマハル」に続き、パキスタンにある「ラホール城」と「シャーラマール庭園」を取り上げます。

この2つの歴史的建造物はパキスタンのパンジャーブ州の都市ラホールにあります。共に世界遺産に指定されており、勿論同国有数の観光拠点。ただし、別々の歴史を持ちセットで創られたものではありません。

「ラホール城」の歴史は古く、起源を辿ると神話の時代まで遡ることが出来るとの事。ただし、発掘調査では、1,000年頃〜1,200年頃の建造と見るのが定説。最も、現存する建物は殆どが「ムガル帝国」(1,516〜1,858年)時代の1,500年代中頃に再建されたもののようです。また、1,618年・1,631年・1,645年・1,674年などの増設記録が残されており、長い年月をかけて現在の姿となったと見るべきでしょう。

日本人にとっては、前項で紹介した「タージマハル」ほどの知名度はありませんが、ペルシャ様式の歴史的建築物として高い評価を受けています。

一方、「シャーラマール庭園」は1,641年に「ムガル帝国」第5代目の皇帝「シャー・ジャハーン」により造園がスタートし、翌1,642年に完成しました。造園の実際の指揮(監督)を執ったのは宮廷につかえていた「ハリールッラー・ハーン」と言う人物で、協力者として「アリー・マルダーン・ハーン」「ムッラー・アラーウル・ムルク・トゥーニー」などの名が残っています。

この庭園は、南北658m×東西258mの長方形で、高い煉瓦塀で囲まれており、そこに繊細な透かし彫りの彫刻が施され、そのデザイン性・技術力に対し高く評価が下されています。また、「ペルシャ式庭園」の特性でもある幾何学的構成+水の有効活用も注目点の一つ。南側から北側に向け約5mの高低差があり、階段状にテラスを創ることで、より魅力的空間となっています。つまり、テラスの使い方がゾーニングの妙でもあり、最上段のテラスを「喜びを与えるテラス」、2段目を「美徳を与えるテラス」、3段目を「命を与えるテラス」と呼び、「シャーラマール庭園」の象徴にもなっています。

さらに、410にも及ぶ噴水、建築物ではサーワーン・ブハドゥム・パビリオン、皇帝と家族用の建物や部屋、大広間、休憩室、(噴水施設を活用した)涼を求める空間、VIPルーム、門と塔などがあり、贅をつくした庭園でもありました。

また、植栽・果樹類の栽培にもこだわり、アーモンド・リンゴ・アンズ・サクラ・マンゴー・クワ・モモ・プラム・ポプラ・マルメロ・イトスギ・それに複数の柑橘類などが植えられています。熱帯イメージの植物が主力ですが、ポプラ・イトスギなどかなりイメージの異なったものも含まれており、欧米・日本などの植栽感覚とは少し異なった一面を持っています。

アーラムギーリー門

 

 

 

 

 

 

「アーラムギーリー門」・・・「ラホール城」正面入り口

 

修道場

 

 

 

 

 

 

「ラホール城」内の古い修道場

 

ロシュナイ門 - Side Entrance (2)

 

 

 

 

 

 

「ラホール城」内の「ロシュナイ門」(正面で出入口)

 

シャーラマール庭園

 

 

 

 

 

 

「シャーラマール庭園」内部

 

シャー・ジャハーン

 

 

 

 

 

 

 

 

「シャーラマール庭園」を創った「シャー・ジャハーン」(「ムガル帝国」第5代皇帝)画