「木」語り 連載第3回

「木」語り 連載第3回

第一章:「木」ってなんだ?

2:「木」の分類

では具体的に、「木」にはどのようなものがあるでしょうか? 

前項でも紹介したように、「木性シダ(大葉シダ類)」などは近年除外する事が多いため、「種子植物」で一定条件を満たしたものだけが「木」と呼ぶことが出来ます。さらに、「種子植物」は「裸子植物」と「被子植物」があるため、「木」は「裸子植物」「被子植物」の2グループに大別されます。

さらに「木」の条件を満たした「裸子植物」の大半は「針葉樹」。従って、「針葉樹」=「裸子植物」と定義したいところですが、「イチョウ(銀杏)」は幅広い葉を持っているにもかかわらず「裸子植物」で、このような例外もありスッキリとは行きません(もっとも、「イチョウ」も「針葉樹」とする分類が主力)。

ただし、本稿は学術書では無いため、<「裸子植物」≒「針葉樹」、「被子植物」≒「広葉樹」>としておきます。そして、「針葉樹」の場合も「広葉樹」の場合も雄花と雌花があり、雄花が花粉を飛ばし雌花がそれを受粉し実を結ぶ(種を作る)と言う点では同じ。

しかし針葉樹の場合は風花と呼ばれ、雄花が大量の花粉を風により飛ばし、雌花がそれを受粉すると言う形で、雄花・雌花とも美しく目立つものではありません。また、スギ・ヒノキなどが大量にあると、飛散する花粉の量も膨大なものとなり、「花粉症」の原因となる事は周知のとおり。

一方広葉樹の場合は、昆虫などにより受粉すると言う、全く別のシステムを創り上げています。このため、虫などを集める機能が必要となり、美しく目立つ花を咲かせる・甘い蜜を出す・香りを有効に使う・・・と言ったお馴染みの「花」をベースとした受粉体制を創り上げました。最も、この形態は樹木だけではなく、草花に関しても全く同じですが。

もう少し「木」の歴史を辿ると、「針葉樹」が先に登場し、それからかなり遅れて「広葉樹」の登場となります。従って、恐竜などが勢力をふるっていた6.000~5,000万年頃以前には、殆ど針葉樹しか無かった模様。つまり、「針葉樹」の歴史は2~1.5億年の長期にわたるが、「広葉樹」は長くても5,000万年前後と言う事になります。

ただ、「針葉樹」が進化し「広葉樹」となったのかと言うと、どうもそう単純ではないらしい。前期のとおり「木」は「裸子植物」と「被子植物」に大別され、「針葉樹」のほぼ全てが「裸子植物」でかつ「単子葉植物」となります。その一方で「広葉樹」の圧倒的多数が「被子植物」ですが、同時にほぼ「双子葉植物」でもあるからです。

草花の場合は御存じの通り、「単子葉植物」と「双子葉植物」に大別されますが、「広葉樹」≒「双子葉植物」でもあると言う事。つまり、新参者の「広葉樹」は「双子葉植物」の一部が巨大化する事により生まれたと見るべきでしょう。結果、「針葉樹」よりはるかに多様な進化を見せ、樹種も圧倒的多数を占めるようになりました。ただいずれにせよ、「針葉樹」と「広葉樹」はかなり古い段階で別の進化形態を辿ったと言う事。

では現代において、「針葉樹」と「広葉樹」にはどのような樹種があり、特性を持っているのでしょうか?

代表的針葉樹「ヒノキ」の人工林

代表的広葉樹「ケヤキ」(野間の大ケヤキ)