りょうさんの:エクステリア&ガーデン・ひと口メモ

 

「りょうさんの:ほぼ毎日、エクステリア&ガーデン・ひと口メモ」・・・NO855

 

「住むに優しいエクステリア 編」・・・園芸療法の歴史と実用性!

「園芸療法(Horticultural Therapy)」とは、言うまでもなく園芸を通じて心や体のケアを行おうと言うもの。最近は、よく似た考え方で、動物やペットを使った療法も注目されています。

「園芸療法」は18世紀の後半頃から、精神障害を持つ人を対象としてスタートしたと言われています。ただし、明確な形で医療に取り入れられたのは1920年~30年頃からで、兵士の精神療法として採用されました。特に、第二次世界大戦後の1950年代には、アメリカ、ヨーロッパで本格的に取り入れられ、大きな成果を上げることでより注目度がアップしました。

その後、さらに研究が進み、帰還兵だけではなく障害者治療にも使われるようになり、現在は欧米を中心に広く「園芸療法」が用いられるようになりました。

 

 

 

「園芸療法」の歴史(ひとと植物環境より)。当初は帰還兵の心のケアのために用いられた。

 

医療としての具体的流れとしては、1960年代にアメリカの大学で講義が行われるようになり、1973年には「アメリカ園芸療法協会」が設立されました。一方、ヨーロッパでも1978年に「イギリス園芸療法および農業訓練協会」が設立され、それ以後ますます活発な活動が行われるようになりました。

日本の場合も、1900年代初頭から「園芸療法」が精神病院の作業治療手段として使われていました。しかし、本格的な医療として注目され出したのは1990年以降で、2002年に「兵庫県立淡路景観園芸学校」に「園芸療法課程」が開設されています。同時に「兵庫県園芸療法士」と言う知事認定資格も設定されました。

さらに、「日本園芸療法士学会」も設立され「登録園芸療法士」と言う資格もできています。「東京農業大学」では「バイオセラピー学科」が新設され同資格の受験が出来るようになっています。

この他、「大崎リハビリテーション大学」「福島学院大学」「神戸女子大学」「札幌国際大学短期大学」「大阪信愛女子短期大学」などが対象学科を設け「園芸療法士」の資格取得への道を開いています。

このような医療活動と住宅のガーデンとは一見無関係のようです。しかし、ここから様々な園芸に対する研究が行われ、日々の暮らしにも取り入れるべき様々なデータが明らかになっています。同時に、プラン作成に取り入れるべき次項も数多く報告されています。にもかかわらず、アドバイザー・プランナー、メーカーなどがその動きにあまりにも無関心であることが不思議でなりません。

特に、「園芸療法」研究の結果による、中・高齢者の方、ハンデを持った方向けのガーデンプランには注目すべき点が多数あります。その最も基本となるのが「レイズドベッド」と言う発想で。次項からは、この発想の重要性について検証します。

そこで本日のひと口アドバイス。

園芸療法の効果に注目しよう! そこから生まれた、最新のガーデンプランをもっと知ろう!」

(りょう)

 

いち早く「園芸療法」に着目した「兵庫県立淡路景観園芸学校」。2002年に対象学科を設立。

 

 

 

 

「園芸療法」の実習風景。腰高、あるいは座って作業が出来ることがポイントの1つ!