「りょうさんの:ほぼ毎日、エクステリア&ガーデン・ひと口メモ」・・・NO840
「WOOD EXTERIOR 編」・・・「クルイン」と「ジャンブジャンブ」???
この項では「クルイン」と「ジャンブジャンブ」と言う、あまり聞きなれないアジア産の「ハードウッド」を紹介します。
まず「クルイン」ですが、フタバガキ科の常緑広葉樹で、フィリピン・インドネシアの島々、インドシナ半島など、東南アジアの幅広い地域に自生しています。日本では「アビトン」と言う名称で取り引きされている場合もあります。
木材の性質に関しては、①:比重が0.75前後で「ハードウッド」としてはかなり軽い ②:従って、エクステリア材として使う場合は耐久性にやや不安がある ③:辺材は黄白色、芯材は赤みをおび境目が比較的はっきりしている ④:木目はやや粗く、データは少ないもののあばれも大きいと思われる ⑤:珪酸塩が多く加工性が悪い・・・などを上げることができます。
フタバガキ科の南洋材には「ラワン」「メランチ」「セランガンバツ」などの著名な木材があります。比重や木材の性質を比較すると、「クルイン」は「ラワン」「メランチ」と「セランガンバツ」の中間的存在と言えるでしょう。従って、「ハードウッド」に加え、エクステリア材として使うこと自体に、少し無理があるのかもしれません。
アジアの熱帯雨林に自生するフタバガキ科の樹木「クルイン」。
「クルイン」の原木。「ラワン」「メランチ」と「セランガンバツ」の中間的特性を持つと考えられる。
「クルイン」製のデッキ。耐久性にやや不安が・・・
一方「ジャンブジャンブ」はフトモモ科、トリスタニア属の常緑広葉樹です。インドネシア、ニューギニアとその周辺の島々が自生地で、「トリスタニア」「ノーザンボックス」「ブラッシュボックス」など様々な名称が使われているのも1つの特色です。元々、南洋材には多数の名前があります。産地が広域になれば、国も異なり当然のことです。しかし、日本での市場が定着してくると、自然に名称もある程度統一されます。「ジャンブジャンブ」の場合は、まだその段階に達していないため、より呼称が多くなっているのでしょう。
材の特性としては、①:比重は0.9前後で重く堅い ②:従って「ハードウッド」に求められる耐久性はかなり高いと考えられる ③:収縮率がかなり大きく、ソリ・ヒネリ・ひび割れがひどい可能性が高い ④:色はブラウン系で木目はやや粗い・・・と言った点を上げることができます。おそらく、耐久性には問題は無いが、エクステリア材としてどの程度の適合性を持っているのか、不明点が多いというのが「ジャンブジャンブ」の実情と言えるでしょう。
木材加工された「ジャンブジャンブ」。耐久性はあると考えられるが、その他については不明点が多い。
「ジャンブジャンブ」の木肌。やや木目が粗い。
「クルイン」「ジャンブジャンブ」については推測部分が多く、実際にどの程度の可能性を持つかは分かりません。ただ、評価の定まった「ハードウッド」が確保しにくくなり、次々に新しい南洋材を求めて、材質的に劣る物を、自然破壊を続けながら無理に輸入する・・・このような傾向が益々強まっています。まさに時代への逆行と言えるのではないでしょうか。
そこで本日のひと口アドバイス。
「クルインにジャンブジャンブ。この聴きなれないハードウッド達が、が何を訴えているかを考えよう!」
(りょう)