「りょうさんの:ほぼ毎日、エクステリア&ガーデンメモ」・・・NO2,270
「エクステリア用天然木大研究」第21回・・・「エコアコールウッド」って何だ?
針葉樹をベースとしたエクステリア用木材を紹介中。「サーモウッド」に続いては「エコアコールウッド」を取り上げます。なお、同木材も人工加工材でどのような樹種にも対応できます。しかし、コスト・安定供給などの条件を考えると針葉樹が主力対象。しかも、元々が国産材の振興を目的に開発された商品(技術)で、事実上スギ・ヒノキ・同間伐材用と考えて良いでしょう。
「エコアコールウッド」とはブランド名で、九州大学農学部・樋口光夫教授の基礎研究をベースに、同大学農学研究院+福岡県工業技術センターインテリア研究所+九州木材株式会社の共同開発による商品(技術)。水溶性のヒロドキシンメチルフェノールモノマーを主剤とした保存薬剤を木材に圧力注入・加熱し作られます。同薬剤は熱硬化性で注入熱処理後に硬化し木材の耐久性・均一性を高めるとの事。
「エコアコールウッド」の性質としては、1:屋外使用で20〜25年の耐久性 2:無毒・無害 2:ソリ・ヒネリ・ヒビワレ等のアバレが少ない 3:加工・施工性が良い 4:白アリに強い 5:無色無臭の薬剤で木材の外見は処理前とほとんど同じ 6:かなり高額・・・などを上げることが出来ます。
上記を見ても「エコアコールウッド」は魅力的側面を多く持っています。ただ、現状では、歴史が浅く屋外使用で実際にどの程度の耐久性があるのか不明点が残る、価格が高すぎる・・・と言う2つの問題を抱えています。これを克服するには、国内林業・木材産業が抱える親方日の丸的利権主義を捨て、許諾権製造による生産拠点の大幅増、それと並行したコストダウン、民間企業ベースの販売努力&需要増、と言う環境を整える必要があります。
品質面からみると「サーモウッド」より「エコアコールウッド」の方が可能性が大きいように感じます。しかし、国産材を有効活用するという点は大きな魅了ではあるが、前述した利権主義が大きな壁になるという、両刃の剣的な側面も持っています。さて、将来は・・・
そこで本日の一口アドバイス。
「大学・官公庁・民間企業の共同開発品=エコアコールウッド。さて、その未来は・・・」
(みずき りょう)
スギベースの「エコアコールウッド」板材:外見的変化は殆どない
ウッドデッキ
目隠しフェンス
施工例:厳島神社
厳島神社②:海水と接する土台部分で活躍
製造工程図
エコアコール剤の加圧注入
注入・熱処理後の「エコアコールウッド」
「エコアコールウッド」の耐久試験(経年変化)
「エコアコールウッド」防虫試験(フナムシ)