りょうさんの:ほぼ毎日、エクステリア&ガーデンメモ・・・NO2,997
「天然素材の魅力」第30回・・・「大谷石」を代表とする積石!
「敷石」と「貼石」について言及しました。続いては、「積石」を取り上げます。と言っても、塀を主力対象としたものと、土留めを主力対象としたものに2分されます。まずは、塀を主力対象とした「積石」から。
<ブロックと同じ悩みを抱える「石塀」>
塀を主力対象とした積石の場合、構造的には<組積造>となります。つまり、ブロック塀と同じです。と言うよりも、ブロック塀の原型と言ってよいでしょう。となれば、地震に対する被害が絶えず問題となります。従って<高く長く積む>ことは避けるべきです。また、ブロック塀同様、擁壁等の土留め上に高さ1.2m以上の「石塀」を作る事は建築基準法違反となります。現実にはこの基準が守られていない現場が多いのですが、今後は止めるべきです。
「石塀」の王者は言うまでも無く「大谷石」。ただし、「大谷石」程有名では無く生産量も少ないのですが、他の「凝灰岩」も塀用として良く使われます(「大谷石」他の「凝灰岩」については既に紹介済み。ここをクリック。なお、「大谷石」は「敷石」のコーナーで取り上げたが、使用量は「石塀」の方がはるかに多い)。
「大谷石」を代表とする塀用「凝灰岩」の場合は幅90㎝×高さ30㎝×厚さ15㎝で、重さは1個70㎏以上あります。このため、最近は鉄筋の入る商品も作られていますが、さほど効果的とは言えません。だからこそ、前述した通り、決して無理な施工をしない事。と言うより、昔のような感覚で塀材として使う事は避けるべきでしょう。
また、「凝灰岩」全体に言える事ですが、火山灰が堆積して固まった石であるため、軟質で吸水率が高い(ただし、硬度・吸水率にはかなり差がある)ため、劣化・剥離(特に寒冷地では)、汚れ、割れなどの問題化あり、この点も熟知し使う必要があります。
また、「石塀」の材料としては、切石に適している「御影石」などを使う場合もあります(と言うより、大きな原石であればどの石でも使える)。しかし、より重量が重くなり施工が難しい、重厚過ぎて余程の豪邸で無い限り似合わない・・・などの問題があり、一般的なエクステリア材とは言えません。
また、従来型の「石塀」市場は激減しています。施工上の問題に加え、感覚的に<重すぎ>て現代住宅に合わない場合が多いからです。ただし、「大谷石」他の「凝灰岩」は多くの魅力を持っており、既に取り上げた「貼石」として使うなど、新しい視点でどう復活させるかも今後の課題。最後に「凝灰岩」は熱に強く(石材の殆どは熱に弱い)ピザ窯の材料等でも注目されている事を付記しておきます。
そこで本日の一口アドバイス。
「大谷石を代表とする凝灰岩。市場は激減しているが新感覚でも復活を!」
(みずき りょう)
「大谷石」の塀
「大谷石」の石肌。多数の孔がありその部分をミソと言う。
「日華石」の塀(黄色っぽいのが特徴)
「御影石」の塀(コブ出し)