みずきりょう の:エクステリア&ガーデンメモ

 

りょうさんの:ほぼ毎日、エクステリア&ガーデンメモ」・・・NO2,325

 「現代住宅植栽考」 第45回・・・日陰でもOK! お勧め中木2選①!

陽当たりが悪い。だから不安で、どんな樹木を植えれば良いか分からない。意外とこんなお悩みが多いもの。特に、中・高木はそのコーナーの中心となり、何を選ぶべきか良く相談を受けます。実は、日陰・半日陰に強い樹木は意外に多くあります。一般論でいえば、「照葉樹林に生息する樹木≒葉にある程度の厚みと光沢がある樹木(常緑樹)」ならほぼOK。その中から、このコーナーではあえて1点カクレミノを選び、紹介しておきます。また、輸入物の代表としてもう1点シェフレアも次項でピックアップ・・・

補足事項:照葉樹林とは光沢のある葉を持つ樹木で主力構成される温帯樹林(日本の主要樹林の一つ)のこと。この樹林の場合、地上に近い部分は日陰となり、従って、その構成樹木の大半が、日陰・半日陰に強いものとなる。

「日陰にも強い中木・カクレミノ」

カクレミノ(隠蓑)はウコギ科カクレミノ属の常緑亜高木。学名は「Dendropanax(カクレミノ属) trifidus」で、本州の東北南部以南・四国・九州・沖縄などかなり幅広いエリアに自生しています。従って、日陰・半日陰に強いばかりではなく、育てやすい樹木であることが分かります。

その他の特色としては、樹高5m程度にまで育つ、幼木の葉には切れ込みがある、成木になると葉が丸みのある楕円形になる、共に光沢がある、花期は6~8月だが目立たない、晩秋になると1㎝程度で黒紫の実がなる・・・など。つまり、庭木の場合は高木としても使えるということ。ただし、実際には日陰・半日陰対応の中木使用が大半を占めています。また、カラミツデ、テングノウチワ、ミツデ、ミツナガシワ、など多くの別称を持っていますが、カクレミノを含め、その大半が幼木の葉の形によるもの。

ここまで記せばもうお判りでしょうが、カクレミノは幼木の葉に特徴があり、それが数多い日陰・半日陰対応が可能な樹木の中でも高い人気をもつおすすめ樹木となっている大きな理由でもあります。ただし、樹液にはウルシオール(ウルシと同じ成分)が含まれており、体質によってはかぶれることがあるので、むやみに触れることは避けるべきでしょう。

そこで本日の一口アドバイス。

「照葉樹林構成樹木の中から日陰用庭木としてカクレミノを推薦! その訳は?」

(みずき りょう)

45:幼木の葉

 

 

 

 

 

 

幼木の葉(切れ込みがある)

45:成木の葉

 

 

 

 

 

 

成木の葉(丸みのある楕円形)

 

 

 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA  花(目立つものではない)

45:実

 

 

 

 

 

 

実(熟すと黒紫色になる)

45:樹皮

 

 

 

 

 

 

樹皮(比較的なめらか)

45:樹形

 

 

 

 

 

 

樹形(5~6mにまで育つ)

みずきりょう の:エクステリア&ガーデンメモ

 

りょうさんの:ほぼ毎日、エクステリア&ガーデンメモ」・・・NO2,324

 「現代住宅植栽考」 第44回・・・魅力一杯、ナンテンとその仲間達④!

人気&お勧め中・低木として、ヒイラギナンテンの仲間を紹介中。この項では、葉がしなやかで細いタイプを紹介します。

「人気急上昇の理由・細葉系のヒイラギナンテン」

細葉系のヒイラギナンテンの正式分類は、メギ科ヒイラギナンテン属マホニア・コンフーサとなり、常緑の低木。学名は「Mshonia(ヒイラギナンテン属) confiusa」。ただし、園芸業界では他にも、細葉ヒイラギナンテン、ナリヒラヒイラギナンテンなどの名称も使われておりやや混乱気味。原産地は中国で、成長しても樹高2m程度。ただし、学術的資料が少なく、原産地の自生状況、実際にはどの程度成長するのかなど、多くの疑問点が残されている植物でもあります。

上記以外の樹木の特色としては、葉は細くしなやか、刺はあるが非常に小さく殆ど目立たない(触れてもあまり痛くない)、晩秋〜冬に黄色い花を咲かせる、日向〜半日陰まで対応でき育てやすい、管理も楽・・・などを上げることが出来ます。つまり、一般的なヒイラギナンテンの仲間のように刺の問題が無いと言う事。しかも、葉は細くしなやかなため、樹形もスッキリしています。このため、モダン系の住宅・ガーデンにも良くマッチし、最近はナンテンの仲間で最も人気のある樹種となっています。

細葉系のヒイラギナンテンが中国から導入されたのは明治期とされていますが、その間の開発・導入過程には疑問点も残されています。例えば、マホニア・コンフーサとナリヒラヒイラギナンテンは全く同じとする説と、マホニア・コンフーサを改良し、より葉を細くしなやかにしたものがナリヒラヒイラギナンテンだとする説があります(後者の場合の品種名は、Mahonia confiusa ‘Narihira’<マホニア・コンフーサの優良園芸種ナリヒラ>となる)。

ただ、御多分に漏れず生産・販売業者ごとの表記はバラバラ。他の植物にも言える事ですが、日本の場合は営利主義が先行し、学術的な研究や正しい開発過程が殆ど不明。この点が、ヨーロッパのバラ開発などに比較すると、大きく劣っています。この項のテーマとは直接関係はありませんが、あえて苦言を呈しておきます。

そこで本日の一口アドバイス。

「細葉系ヒイラギナンテン=刺害も無くモダン系にもピッタリ〜ナンテン類の主役に」

(みずき りょう)

44:樹形

 

 

 

 

 

 

庭に植えられたマホニア・コンフーサ

44:花

 

 

 

 

 

 

 

花:晩秋~冬に咲く

44:葉

 

 

 

 

 

葉:細くしなやかで刺害も殆どなし

44:苗

 

 

 

 

 

 

POT苗

 

 

 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA ナリヒラヒイラギナンテン:園芸優良種とする説も?

みずきりょう の:エクステリア&ガーデンメモ

 

りょうさんの:ほぼ毎日、エクステリア&ガーデンメモ」・・・NO2,323

 「現代住宅植栽考」 第43回・・・魅力一杯、ナンテンとその仲間達③!

人気・お勧めの中・低木。その中からナンテンの仲間を紹介中です。といっても、ナンテン属とヒイラギナンテン属に分かれており、この項からはヒイラギナンテン属を取り上げます。

そのヒイラギナンテン属に関しても、庭木の場合、文字通りヒイラギ(全くの別系統樹木、モクセイ科モクセイ属)に近い葉を持つ系統と、細長い葉を持つ系統に2分されます。この項では、ヒイラギに近い葉の系統から・・・

「一見ヒイラギ?・ヒイラギナンテン+α」

まず本家ヒイラギナンテンの学術的分類から。メギ科メギ属ヒイラギナンテンと表示されている場合と、メギ科ヒイラギナンテン属ヒイラギナンテンと表示されている場合があります。従って、前者の学名は「Berberis(メギ属) japonica」となり、後者の学名は「Mahonia(ヒイラギナンテン属) japonica」と表示されています。我々と関係が深いガーデン系では殆どが後者表示を採用しており、同系統の英語植物名の大半が「マホニア***」と表記されているのはこのため。なお、Mahoniaと言う属名は、植物学者バーナード・マホンに由来するもの。

私たちが目にするヒイラギナンテンは殆どが樹高50㎝程度ですが、実際には2m程度まで育ちます。原産地は中国〜台湾。その他の特色としては、常緑低木、葉がヒイラギに似ており刺がある、冬場に少し紅葉、冬〜春に黄色い花を付ける、その後紫色の実となる、育てやすく管理も楽・・・など。また、公共スペース・住宅などで手軽な低木として多用されている事は周知の通り。ただ、葉に刺があるので、最近は住宅での使用が若干減っているかもしれません(多少防犯に役立つかも知れないが)。

面白いのはその学名。日本代表のようなJaponicaですが、前記の通り原産地は中国など。日本に入ってきたのは江戸時代とされており、学名を付ける時に何か勘違いがあったのかも知れません。

なお、ヒイラギナンテンの類似植物としてマホニア・チャリティーと言う名前をよく耳にします。これは、ヒイラギナンテン×ロマリフォリアの園芸種。外見的には殆ど相違がありませんが、マホニア・チャリティーの方が大型。従って、現実的には正しい素性は無視され、小ぶりのものをヒイラギナンテン、やや大型に育つものをマホニア・チャリティーとして扱われていると考えた方が良いでしょう。

また、ヒイラギナンテン属はナンテン属より大きなグループ。約70属に及び、中国〜北米〜中米と幅広いエリアでその仲間が自生しています。その中で、細葉系統のものが最近良く出回るようになりました。次項ではその細葉系を取り上げます。

そこで本日の一口アドバイス。

「ヒイラギのようでヒイラギで無い。それがヒイラギナンテンの仲間?」

(みずき りょう)

43:樹形

 

 

 

 

 

ヒイラギナンテンの樹形

43:葉

 

 

 

 

葉(ヒイラギによく似ている)

43:花

 

 

 

 

 

冬〜春に黄色い花が咲く

43:実

 

 

 

 

 

 

やがて紫色の実となる

43:マホニア・チャリティー

 

 

 

 

 

大きく育つマホニア・チャリティー

43:マホニア・ロマリフォリア

 

 

 

 

マホニア・ロマリフォリア

みずきりょう の:エクステリア&ガーデンメモ

 

りょうさんの:ほぼ毎日、エクステリア&ガーデンメモ」・・・NO2,322

 「現代住宅植栽考」 第42回・・・魅力一杯、ナンテンとその仲間達②!

人気&お勧め中・低木。ナンテンの仲間から紹介中ですが、この項ではオタフクナンテンと言う超人気植物を取り上げます。

「身近だがちょっと不思議・オタフクナンテン」

オタフクナンテンは最近シマトネリコと並んで良く使われる樹木。従って、名前を知らない人でも、写真を見せれば「ああこれが」とたいていは思い当たるでしょう。でも、ナンテンと言う割にはかなり姿形が異なるし、一体その正体は? それを探るため、まず分類等の学術的チェックから・・・

オタフクナンテンはメギ科ナンテン属の常緑低木で、学名は「Nandia(ナンテン属) domestica」。そう、ナンテンと全く同じです。つまり、同一種であると言う事。もう少し分かりやすく言えば、ナンテンから人が創り出した園芸種であると言う事になります。しかし、いつ頃どのような経緯で作出されたかを知る一般的資料は殆ど無く、意外に謎が多い植物であるとも言えます。

しかも、ナンテンとオタフクナンテンとでは、その姿形が大きく異なります。その特色を以下に列記しておきますので、前項のナンテンと比較してみて下さい。

オタフクナンテンの特色:樹高は50㎝程度で、庭木として使われている場合は30㎝前後のものが多い。葉はより丸みがあり大きい。強い陽光や気温の変化(寒くなる)で紅葉する。5〜6月に白い花を咲かせるが、数が少なくほとんど目立たない。実が成らない。ざっとこんなところ。以上の特性から判断し、ナンテンの矮性種どうしを掛けあわせたらこんな姿になった。そんなふうに想像されるのですが果たして・・・

また、同じく前項で触れたとおり、ナンテンの葉・実には複数の毒性物質が含まれ、逆にその性質を活かし漢方薬等に使われてきました。しかし、その性質はオタフクナンテンにも引き継がれているのか否かも不明。少なくとも、ガーデン用以外の用途に触れられた資料はほぼ皆無です。

ただ、背が極めて低く適度に地面を覆ってくれる、常緑である、紅葉も楽しめる、育てやすく病害虫にも強い、剪定等の必要も殆ど無く管理が極めて楽・・・などの特性が好まれ、樹木と言うよりはグランドカバーとして多用されるようになったことは周知の通り。針葉樹であれば、ハイビャクシンの仲間に代表されるような、グランドカバー的樹木も珍しくありません。しかし、常緑広葉樹の場合は極めて数が少なく、ますますオタフクナンテンの人気が高まったと言う事でしょう。

貴方もこの便利なオタフクナンテン。より上手く使ってガーデンライフをより楽しいものにしてください。

そこで本日の一口アドバイス。

「樹木と言うより人気グランドカバー。そんなオタフクナンテンにも?な側面」

(みずき りょう)

42:施工例

 

 

 

 

 

グランドカバー的な扱いで多用

42:葉の変化(緑)

 

 

 

 

 

緑色の葉

42:葉の変化(紅葉)

 

 

 

 

 

 

紅葉した葉

42:花?

 

 

 

 

花(中央右)?:数が少なく目立たない

42:POT苗

 

 

 

 

 

 

POT苗

みずきりょう の:エクステリア&ガーデンメモ

 

りょうさんの:ほぼ毎日、エクステリア&ガーデンメモ」・・・NO2,321

 「現代住宅植栽考」 第41回・・・魅力一杯、ナンテンとその仲間達①!

人気&お勧めのシンボルツリー紹介を終えました。続いては、少し地味ではありますが中・低木にスポットをあてます。と言っても、庭木として使われる中・低木はシンボルツリー以上に多種多用。従って、テーマである現代住宅事情に会わせ、徹底的に絞り込み紹介していきます。まずは、最も使い勝手の良い中・低木のグループ・ナンテンの仲間から・・・

「本家本元・ナンテン」

ナンテンの仲間と言っても実は2系統に分かれます。1つ目は、文字通りナンテンの仲間。1つ目は、ヒイラギナンテンの仲間です。まずは、本家のナンテンから。

ナンテン(南天)はメギ科ナンテン属の常緑低木で、樹高は一般的には2m程度。ただし、4〜5mにまで育つこともあります。学名は「Nandia(ナンテン属) domestica」。原産地は中国で、日本では西日本・四国・九州に自生しています。ただし、古くに輸入したものが野生化したものと考えられています。

樹高以外の特色としては、葉は互生し先の尖った楕円形で小さく柔らかい、6月頃に白く小さな花を咲かす、赤い実が成り長く楽しめる、株立ちになりやすい・・・などを上げることが出来ます。

ナンテンは古くから庭木ああ(中・低木)として多用されています。あまり大きくならず育てやすいと言った実用面に加え、縁起物として有名になったためで、ナンテンの発音が「難を転じる」に通じると言う語呂合わせは有名。このため、鬼門(丑寅≒北東)、裏鬼門(未申≒南西)、トイレ周辺等に良く植えられました。昔ほどではないにしても、何か問題がある場所にはナンテンを植えると言った習慣は今も残っています。

また、葉は「南天葉」と言う漢方薬でもあり、胃・解熱・咳などの薬として使われます。これは、シアン化水素(HCN)と言う猛毒成分が含まれるため。ただし、微量であり余程濃縮しない限り人体に悪影響は無いとの事。重箱などにもナンテンの葉が入れられますが、これは外見上だけの問題では無く、毒性を活かした殺菌効果によるもの。また、赤い実にも複数のアルカロイド(有毒物質)が含まれているため、わざわざ口に含むようなことは避けるべきでしょう。

最後に面白い言い伝えを。ナンテンの実は生け花の中でもたいていは最後まで残っています。このため、宴会の席で最後まで残っている連中の事を「ナンテン組」と言う地方もあるとか。貴方も心当たりがある場合は、そう言われないように早目の退散を心がけましょう。

そこで本日の一口アドバイス。

「難を転じて福となす+使い勝手も良好なナンテンを中・低木として・・・」

(みずき りょう)

41:樹形

 

 

 

 

 

 

ナンテンの樹形(株立になる)

41:花

 

 

 

 

 

 

6月頃に白い花を咲かせる

41:実と葉

 

 

 

 

 

葉と実(赤い実を永く楽しめる)

41:若い幹と枝

 

 

 

 

 

若木の幹と枝

« 前のページ次のページ »