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木匠:「杉」語り(スギ がたり)②

「杉」語り(スギ がたり)②

 

<「杉」その木材としての魅力と社会的課題>

 

4:「杉」をどう使うか

既に提示した通り、「杉」は日本全国に自生しており、加えて大量に植林されています。従って、<(ヒノキと共に)最も入手しやすい国産木材>となっています。安定供給が可能だと言う事。

ただその一方で、植林材の定期的管理(間伐、等)・伐採が出来ず、人工林が荒れ災害の原因にもなると言った社会的課題も出てきています。また、折角成長した「杉」を伐採しても、チップにしバイオエネルギー用の原料とする・小さくカットし集成材用の材料にするなど、その価値を活かせない使用法も急増。つまり、<「杉」はより多く伐採し、その価値を活かせる使用方法を見つける>事こそ重要課題となっていると言う事です。

災害

 

 

 

 

 

 

災害の要因にもなる日本の人工林

 

 

5:杉材に対する誤解

「杉」の木材としての特性は既に一部提示した通り、軽く加工性が良い・柔らかく風合い(肌ざわり、等)に優れる・・・など、建材など加工用木材に適しています。その一方で、<杉は安物でヒノキは高級品>と言った間違った認識を持つ人も少なくありません。

確かに、<最も安価な国産木材>と言う側面もります。ただし、それはあくまで一般的建材に限られた事。実は、「杉」ほど<廉価木材~超高級木材>まで幅広く活用されている国産木材は他に例を見ないと言う事です。

例えば、「赤無節(あかむぶし)」と呼ばれる部位を用いたもの・北山杉(京都産)の手磨き床柱などは古くから最高級木材として高い評価を得ています。また、屋久杉(屋久島産の樹齢1,000年以上の杉)材も最高級工芸用木材として広く知られています。

従って、「杉」を正しく評価し正しい使い方をするためには、価格ではなく<その特性をどう活かす>が最重要課題となります。

屋久杉の湯飲み

 

 

 

 

 

 

屋久杉製の湯飲み

 

<「杉」がエクステリアに最適である理由>

 

6:「杉」の赤身(芯材)に注目

「杉」の赤身(芯材)は極めて耐久性に優れている(腐りにくい)。既に提示した通りです。この特性は「セコイア」の遺伝子を引き継いでいる事によるのかも?

それだけではありません。大木になると赤身の比率が増える・日本の林業事情で逆に大木が入手しやすい・良材でありながら赤身は建築材としては意外に不人気(白木が好まれる)・・・と言った要因も見逃せません。

つまり「杉」の赤身材は、その価値・希少性・加工に関する手間などの条件の割には、安定的に利用可能なコストでの供給可能だと言う事。

 

7:「杉」に新たな可能性を拓く「エクステリア」と言う世界

では、「杉」の赤身材の最適利用方法とは。それは<屋外での使用>。そう、「杉」の赤身は<最適エクステリア(住まいの屋外空間)材>であるわけです。加えて、その市場を切り拓くと言う事は、「杉」に新たな命を吹き込み・(林業・木材業等を通じ)地域活性化に繋がり・自然災害から日本を守り・環境整備(地球温暖化防止、等)にもつながると言う事です。

今、政府も<国産材の見直し>に力を入れ、各種補助金制度も設けています。ただ、それを利用しようとする殆どの企業も含め<上から目線>である事は否めません

勿論、私達(egg-加盟企業)も条件が合えば補助金を活用する事にやぶさかではありません。ただ、あくまでも<一般のお客様と共に、エクステリア材としての「杉」活用>に全力投球していく所存です。

<奇跡の木「杉」>。このかけがえのない日本の財産に新たなスポットライトを!

杉柾施工例①「myガーデン」

 

 

 

 

「杉」の<柾目引・赤身材(芯材)>を使ったデッキ。耐久性に優れしかも抜群の風合い

 

つづく

木匠:「杉」語り(スギ がたり)①

「杉」語り(スギ がたり)①

 

「杉」について少しだけ話したいと思います。それだけのロマンと魅力を持った木であるから。えっ「杉なんてどこにでもある」って。その通りです。「日本中杉だらけ」と言っての過言ではありません。そればかりか、最近は花粉症の原因にもなり悪者扱いされる事さえ。

でも、それは日本限定のお話。地球規模で見れば希少でかつ奇跡ともいえる木なのです。

まずはそのあたりから・・・

 

<奇跡の木「杉」>

 

1:「杉」は希少種

<「杉」は奇跡の木>と言えば大げさに聞こえるかもしれません。でもこれは事実です。「杉」を学術的に分類すると<ヒノキ科(スギ亜科)スギ属の針葉高木となります。学名は「Cryptomeria japonica」。そして、ここから2つの真実が見えてきます。

1つ目の真実:「スギ亜科」または「スギ属」に属するものは極めて少ないと言う事。北米の「セコイア」「ラクショウ」。中国の「メタセコイア」「コウヨウザン」。そして日本の「杉(スギ)」。この程度です。さらに不思議なことに、その自生地がバラバラに散らばっていると言う点。果たしてその意味は?

2つ目の真実:学名に「japonica」と記されていると言う点。勿論これは、<日本の固有種 or それに近い種>である事を表しています。

スギ

 

 

 

 

 

 

 

日本の「杉」

 

メタセコイアア

 

 

 

 

 

 

 

 

中国の「メタセコイア」

 

ラクショウ

 

 

 

 

 

北米(メキシコ)の「ラクショウ」

 

 

2:セコイアと言う生きた化石

前述のごとく、「杉」の仲間に「セコイア」と言う樹木が含まれています。この樹木の正しい名前(学名)は「セコイア センペルビレンズ」で、「レッドウッド」と通称されることも。

そしてこの「セコイア」、1億年以上前には「セコイア」の仲間が北半球を覆っていた・アメリカ原住民に<神の木>と崇められていた・樹高世界一(100m以上に達する)のスーパー巨木&長寿木・現在はカリフォルニア州のレッドウッド公園内だけに自生する希少種・・・と言った曰く付きの植物でもあります。しかも、「セコイア」の直系として現存するのは「セコイア センペルビレンズ」のみ。

さらに、木材(現在は栽培木のみが伐採可能)としても最高品質とされ、特に芯材(赤身)は<極めて腐りにくい木>として世界的に有名。

以上を考慮すると、<「杉」と「セコイア」は近樹種>と言うより、<絶滅危惧種「セコイア」の生き残りが「杉」とその仲間>と考えるべきでしょう。だからこそ、世界各地に「杉」の仲間がわずかに点在しているのではないでしょうか?

セコイア

 

 

 

 

 

 

 

「セコイア センペルビレンズ」(通称「レッドウッド」)

 

 

3:「杉」の神秘性・特性

従って、日本列島で「杉」が生きていること自体が不思議な巡り合わせ。しかも、これだけの繁栄を見せていると言う事実は<奇跡>と呼ぶにふさわしい出来事だと言えます。

では、「杉」の特性とは?

1:長寿であり巨木となる・・・長寿と言う面では屋久島の「屋久杉」が何よりの証人。その代表が「縄文杉」で樹齢2,500年以上とも・・・

2:垂直性(上に真っすぐ伸びる)・・・「杉」と言う名前自体が<真っすぐ>と言う意味から来ていると言う説も。

3:芯材(赤身)と偏材(白身)の相違・・・成長するに従い、芯材(赤身)の比率が大きくなり、この部分は腐朽菌やシロアリに非常に強い。そして、1・2・3の特性はまるで<「セコイア」の血(遺伝子)をそのまま受け継いだ>ようにも感じます。一方、樹皮近くの色が白い遍材は決して耐久力のある木とは言えません。

4:軽く柔らかい(気乾比重0.38前後の材が多い)・・・このため風合い(肌ざわり、等)が優れている。ただ、強度面では弱い部類に属する。また、一定年齢に達するまでは成長が早い。

5:産地(地域)差が大きい・・・産地、あるいは同一産地でも生育場所によりかなり木材の性質が異なると言われています。理由は不明ですが、杉材を完全に使いこなすには<高度なプロに知識>が必要だと言う事でもあります。

この他にも、「杉」には多くの特性があります。ただ、煩雑になりすぎても意味がないため割愛します。いずれにせよ、樹木としての「杉」、そこから木材として加工された杉材共に、その本当の姿を見つめると、極めて魅力的かつ神秘的な存在であることが分かります。

 

縄文杉

 

 

 

 

 

 

 

長寿の象徴とも言える「縄文杉」・・・樹齢2,500年以上と言われている。ただし、縄文時代からと言うのはさすがに伝説。

 

杉の原木

 

 

 

 

 

 

 

「杉」の原木・・・成長と共に芯材(赤身)の比率が増し、その部分は非常に腐りにくい。

 

つづく

木匠:商品情報 注目の国産エクステリア専用材「杉柾」「赤杉」!

「杉柾」・・・1クラス上のデッキ。抜群の耐久性と風合い!

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「赤杉」・・・最高品質の目隠しフェンス(塀)&外装材!

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「木の文化」は、まだ生きている(飴村雄輔著) 連載第11回

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2:伝統工法の理論と在来工法の実態

 

2-2 在来工法とは何か

 

在来工法に潜む危険性①

現在のプレカット加工はあくまで機械加工のため、継ぎ手の種類も限られています。強固で複雑な伝統的継ぎ手は用いていません。肝心な継ぎ手個所に対し、密着させ締め付けるための工夫を凝らした伝統的加工をあとで施すわけでもありません。

間取りと梁間によって梁成を決定した桁や梁を配置しますが、継ぎ手の種類も継ぐ位置も適正さを欠いている建物も見受けられ、その部材仕口も組んで打ち込むほどに締まる納まりではなく、組みやすさ優先の為かやや緩めに作られているようです。その分、継ぎ手の補強として羽子板ボルトを使ったり、その他の表面金物で補強する仕様となっています。

例えば、羽子板ボルトは表面金物であるため、締めるほどに偏心力が強まり、部材を引き付けるよりはむしろ、引き付けようとする横梁材のボルト穴を裂こうとする力に変化してしまいます。補助金物として使うなら壺掘りして横材の芯で引き付けるのが正解です。

図-15壺掘りボルト引きと羽子板ボルト引き-01h

 

 

 

 

 

 

壺掘りボルト締め

 

さらに在来工法は間柱に筋交いや合板面体を施し、揺れと変形に対して壁面を順次固めていきます。

こうした壁面の剛性補強に力点を置きすぎたためか、今度は水平面をもっと固める必要が指摘され、最近では床板に24㎜以上の厚貼りの構造合板を敷き並べ、全体の剛性を高めようとしています。軸組の考え方では、本来大引きと根太を組み込むことで水平剛性をしっかり出すという考え方でしたが、今では厚張り合板に頼って剛性を出すのが標準仕様になってきています。

いわゆるツーバイフォー工法の理論原理である「面の剛性」を目標として、結局、弱そうな箇所をすべて金物と面板で補強しようとしているだけになってしまっているのです。

図-16根太を載せただけで厚張りの合板敷設

 

 

 

 

 

 

 

根太を乗せただけで厚張りの合板敷設

図-17筋交の押す力で隅柱が外される-01

 

 

 

 

 

 

 

図-17筋交の押す力で隅柱が外される-02

 

 

 

 

筋交いの押す力で隅柱が外される

 

筋交いを入れた壁面も耐力壁とされ、法規上何ヶ所かは入れることが規則になっています。その筋交いが建物にとって変形を防ぐポイントとなる壁面場所に適正な方法で組み込んでいるならばまだ効果もありますが、あくまで間取り優先で開口部の位置が優先されるため、無難な箇所に必要とされる数合わせで入れている場合もあります。

さらに困った問題は、筋交いにかかる力が最終的に流れ込む土台の継ぎ手部分に、その力を受ける十分な木の肉厚が残されていないというケースが多いのです。

特に隅柱が建っている部分は柱の「ほぞ」が入っており、筋交いの押す力を受ける短い繊維厚は引きちぎられて隅柱が外れてしまう可能性があります。このような在来工法と呼ばれるものには、もはや一貫した伝統工法の軸組力学の理論が重要なポイントで生かされていません。むしろ壁組工法としてのツーバイフォー工法の方が、使用基準が明確に管理され、はっきりした制約の中で施工も押し進められています。

事実、阪神大震災でツーバイフォー住宅のほうが全壊を免れたというデータもあります。この事実を単純に受け入れ、震災後の在来工法の流れをさらに金物依存と面材依存志向へシフトさせていったように思われます。建物は揺れるというのが大前提であり、その揺れを建物全体に伝えて木材の柔らかな吸振力とバランスの良い木組み配置で復元力を発揮するのが本来の伝統軸組工法の原理なのです。在来工法と呼ばれる建物は既にこの原理から乖離して、今や金物と合板面体に頼って建てられている別工法と言わざるを得ません。

「木の文化」は、まだ生きている(飴村雄輔著) 連載第10回

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2:伝統工法の理論と在来工法の実態

 

2-2 在来工法とは何か

 

生かされていない伝統建築理論

 

現在の木造住宅の多くは在来工法と呼ばれ、それらの構造材はプレカット工場で加工され、加工済の構造材をまとめて現場に直送されるのが一般的になりつつあります。

木質系ツーバイフォー工法も今では「木造住宅」という仕分けの中に含まれているようですが、これは独自の理論の下で同じくプレカット生産されています。この工法は外来のものですが、それなりのきちんとした理論ときまりがあり構造的根拠もはっきりしています。日本での耐久性はまだ不明ですが、壁面枠を組み立てていくわかりやすい仕組みになっており、1974年に日本に入ってきてから順調に実績を積み今は全国的にも普及しています。

一方、各地で現在進められている「在来工法」といわれる構造材の組み方、建て方と継ぎ手のプレカット加工は、本当なら日本の伝統軸組構法の考え方から引き継がれているべきものですが、残念ながら厳密にはとても「伝統的理論」に則ってできているとは云えません。何故なら今の在来工法は「木材本来の持っている強さ」を十分引き出せていないからです。そして木組全体からみて、間取りと構造体が一体となって安定した「つくり」になっていない事も挙げられます。

「在来」と言う言葉は誰が付けてどこから来たのかわかりませんが、結局「木軸理論を学ばず、ただ形だけ真似てみた」というのが現状です。現在の木造建築と呼ばれるものを分類すると下記のような種類がありますが、軸組構法というのは、厳密には「伝統構法」と「在来工法」にさらに分けておく必要があります。

 

木材建築工法の種類

1:軸組構法(伝統軸組構法、在来工法)・・・丸太や角材に加工した柱や梁等の木軸材を繋ぎながら構造体を組み、一気に小屋組(屋根構造体)まで組み立てていく工法

2:枠組壁工法(ツーバイフォー工法)・・・木材で作った枠(フレーム)に構造用合板等を打ち付けた壁面や床面を構造板とし、その面材に力を預けて建物を下から組み上げていき工法。

3:丸太組工法(ログハウス)・・・丸太や角材を水平方向に井桁のように積み上げて壁を組み立てていく工法。伝統建築の校倉造り(正倉院)は、この丸太組工法に属する。

 

「伝統軸組構法」と「在来工法」の違い

伝統軸組構法・・・古代から伝承されてきた日本独自の架構式軸組構法。本来の木の持つ軸力を有効に使う事で、軸材の配置や継ぎ方を工夫し、強度と耐久性を追求した免震構造の構法。

在来工法・・・伝統構法の形状に似せながらも組み方を簡略化し、その分、筋交いや面材、補強金物を継ぎ手に補足しながら組み上げていく普及型工法。

 

今の在来工法を強いて表現するなら、全体的に継ぎ手部分は多くの金物の力に依存しているのでむしろ「金物工法」というのが適当かもしれません。

50年前の高度成長期、分譲住宅建築ラッシュと共に建て方の省力化と大工不足が叫ばれ始めました。

同時に金物加工が発達してきたため、継ぎ手加工にかかる手間を省くため量産できる金物で木材を接合しようという試みが盛んになされたようです。皮肉にもこれら新たな金物の開発に協力したのも多くは当時の大工達です。

金物は伝統木造でも古来よく使われてきましたが、その当時は手作りの鉄ですから、継ぎ手の抜け止め等、あくまで補助的な役割としての存在でした。しかしながら、現代は精度以上にスピードが求められる時代になり、量産品となった建築金物は木部材の緊結材として一気に普及しました。

金属加工はミリ単位で制度が出るのに、木材はあとで変形、反りなど暴れる癖があるので、両者の精度バランスを取るため、後年プレカットの台頭時から梁などの構造材も天然木に代わって変形の少ない積層集成材を使う流れになっていったようです。時代の流れとしては仕方が無かったのでしょうが、ここで重要なことは、木造建築そのものが本来、「木の持つ強さを利用する構法」であったものが、いつのまにか「金物の強さに頼る工法」に軸足がぶれていったことなのです。

 

こうして、本来あくまで木材の継ぎ手の補助的な役割であった金物が、現代建築ではすっかり主役に躍り出てしまいました。それが現在の在来工は「金物工法」と称する所以です。そして今は誰もそれに対して疑問すら抱きません。そもそも伝統軸組の木組みとはどういった構造理論の上に成り立っていたのか本各検証が未だに十分なされていないということでしょう。

現代の建築基準法がどのような経緯で出来たのかはわかりませんが、本来の伝統木軸の理論を解析して体系化しようとするのではなく、戦後一斉に普及した鋼構造的な考えが全面的に支持され、それに沿った力学理論の考え方を優先してきた結果、木造建築の基本的な考え方も制度化され、この半世紀木造軸組みに関する検証が結局議論もされず放置されているような気がします。今建てられている木造建築の工法では、次世代を超え、何世紀も超えた未来に残せるものが登場するとはとても思えません。

正倉院

 

 

 

「正倉院」の「校倉造」はログハウスなどと同じ「丸太組工法」に属する。

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