りょうさんの:エクステリア&ガーデンメモ

 

「りょうさんの:ほぼ毎日、エクステリア&ガーデンメモ」・・・NO1,893

 

「現代日本 外構・ガーデン事情 編」・・・・プライベートガーデンをどう確保③?

敷地130〜200㎡の平均的一戸建て住宅では、どのようにしてプライベートガーデンを確保すべきか? 特に、150㎡以下の場合は、一定の工夫を必要とします。

その方法A:はガレージバルコニーの設置です。前項で示した通り、2台用カースペースの場合は、一般カーポート代金に100〜150万円程度のプラス予算が必要となります。高い買い物。本当にそうでしょうか。地価が高い都市部においてはむしろ安い買い物。筆者はそう考えています。しかも、25〜30㎡(2台用の場合)という、ゆったりとしたサイズのプライベートガーデンが得られます。このような空間は、次の対象となる200㎡以上の敷地の住宅でない限り、確保が困難であるからです。

次の方法B:は、住宅を可能な限り後方に寄せる+勝手口・掃き出し窓もフロントガーデン側に造るというもの。つまり、可能な限りフロントガーデン側の空間を広く取るという方法です。ここで、多くの方は疑問を感じると思います。プライベートガーデンを確保する・・・それがこのコーナーのテーマであるからです。しかし、150㎡以下の敷地では、屋外スペースを分断しても、中途半端なデッド部分を増やすだけ、せいぜい通路にしかなりません。

だからこそ、一か所に屋外空間を集中させ、そこを最大限に有効活用する。この発想が必要です。この方法であれば、何とか掃き出し窓前等にプライベートガーデンを造ることが可能となる頻度が高まるからです(ただし、敷地形状に左右され100%とは言えない)。ただし、この場合も2つの注意事項があります。1つ目は、目隠しフェンスの設置。2つ目は、その目隠しフェンスはプライベートガーデン周辺を優先する。以上です。

1つ目の場合は、外部視線のカットが必要で当然のこと。しかし、一般的には高さ1.8m以上+目隠し度ほぼ100%+おしゃれ感がある、と言う3つの条件をクリアする必要があります。勿論ご予算、施工性等の制約もあります。従って、意外に商品選択が難しくなります。そんな中で一押しの目隠しが木製のオーダー製品です。ただし、木に対する知識が豊富な専門店に依頼することをお忘れなく・・・

2つ目の意味は、敷地境界の塀・目隠しフェンスでは十分な効果が得られにくいため。特にクローズ外構の場合は敷地境界の塀・フェンスで目隠しも兼ねるという発想が多くなります。しかし、殆どが不十分で、プライベートガーデンでの活動に支障をきたすことが多くなります。同スペース周辺の部分チェックを必ず行い、場合によっては別の目隠しを設置するようにしてください。

150〜200㎡程度の敷地の場合は、もう少し余裕が生まれます。ただ、プランの大筋は130〜150㎡の場合と同じです。家屋の裏側等に十分な空間を確保することはやはり困難であるからです。

そこで本日のひと口アドバイス。

「フロントガーデンを可能な限り広く=プライベートガーデンの確保。それが現実!」

(りょう)

 

 

 

 

 

大和塀(この発想を!):目隠し度100%+通風性

 

 

 

 

 

 

一押しは木製の目隠し

 

 

 

 

 

 

意外に低い塀の目隠し効果!

りょうさんの:エクステリア&ガーデンメモ

 

「りょうさんの:ほぼ毎日、エクステリア&ガーデンメモ」・・・NO1,892

 

「現代日本 外構・ガーデン事情 編」・・・プライベートガーデンをどう確保②?

日本の住宅事情に合わせ、プライベートガーデンスペースをどう確保するかについて検証中です。そして、敷地100㎡内外の狭小住宅に関しては、ほぼ対象外(屋上ガーデン以外は困難)と述べました。しかし、これは、関東・関西、商業エリア等の例外的一戸建て住宅です。そして、100㎡住宅以外は、工夫次第でプライベートガーデンを造ることは可能であるということ。むしろ、この点に注目すべきです。

何度も述べている通り、庭のメインはプライベートガーデンであるべきです。従って、本当にガーデンライフを楽しみ、ひいてはガーデン文化をはぐくむには、プライベートガーデンの充実が必須条件になります。にもかかわらず、今の日本の状況は、外構(フロントガーデン)に傾斜しすぎ、それがある意味の貧困(精神的意味合いが強いが)に繋がっていると言わざるを得ません。

では、100㎡住宅以上であっても、新築の主力となる敷地が130〜200㎡住宅に関してはどうでしょうか。外構のプラン経験者であるならすぐ理解できると思いますが、150㎡以下の敷地で2台分の駐車スペースを確保すれば、殆ど何も残らない。こんな経験を持っていると思います。お客様の場合も、新築プラン中の方、過去の新築プランを経験した方なら、同じことを体験済みだと思います。

しかし、工夫次第では限られた空間ではあるがプライベートガーデンの確保は可能。こうお伝えしておきます。また、130〜200㎡の住宅でプライベートガーデンの確保が困難となれば、日本人の多くがプライベートガーデンを持つことをあきらめざるを得ないという結論になってしまいます。でも、確保可能と書けば、前述と矛盾することに・・・

一般論としてはそうですが、以下の工夫をすれば可能と言うこと。具体的には、A:カースペースの上をガーデンとして使う B:住宅配置自体を工夫する・・・と言う2つの方法があります。

A:の場合は、ガレージバルコニーを設置するということ。例えば、130㎡の敷地に2台分のカースペースを確保した場合。この場合は、大部分の住宅で設置が可能です(前項の100㎡住宅の場合は1台分のガレージバルコニーでも設置困難な場合が多い)。うまくいけば、家屋と連結し2階から出入り可能とすることも出来ます。ただし、一般の2台用カーポート+100〜150万円程度の予算を必要とします。この点のご理解も・・・

では、B:敷地130〜150㎡程度の住宅で、1階部分にプライベートガーデンを造るには。これには2つの工夫を必要とします。1つ目の工夫は、住宅の配置そのものを限界まで敷地の片隅に寄せるということ。そして、裏側のデッドスペースを出来るだけなくします。当然、勝手口も広い方の空間に設置(出来ればカースペースとドッキング)することになります。2つ目の工夫は、掃き出し窓もフロントガーデン側に造ること。このためには、当然のことながら間取りのチェックも必要になります。

そこで本日のひと口アドバイス。

「敷地130〜200㎡住宅。ここでのプライベートガーデン確保が最大の鍵!」

(りょう)

 

 

 

 

 

これが敷地130㎡強の住宅。でも配置が・・・

 

 

 

 

 

 

ガレージバルコニー:一見贅沢に見えるが実はお得!

 

 

 

 

 

 

勝手口もフロントガーデン側に?

りょうさんの:エクステリア&ガーデンメモ

 

「りょうさんの:ほぼ毎日、エクステリア&ガーデンメモ」・・・NO1,891

 

「現代日本 外構・ガーデン事情 編」・・・プライベートガーデンをどう確保➀?

日本のプライベートガーデンについて検証中です。既に提示のとおり、塀で囲むという作業により、敷地は多少狭くても、日本人の多くが庭にプライベート空間を確保してきました。つまり、多くの人がプライベートガーデンを保有していたということです。だからこそ、欧米とは少し状況が異なるとはいえ、昭和の前半まではガーデン大国の仲間でもありました。

しかし、敷地がより狭くなったこと、カースペースの大型化、外構のオープン化、などにより近年はプライベートガーデンの確保がより難しくなり、これがガーデン文化(あるいはガーデンライフ)の貧困化に結び付いています。一時期、ガーデニングブームと言うものがありましたが、それでもガーデン市場(外構ではなく)中で草花、ガーデン用品・グッズ・資材が売れただけで、市場全体は下降線をたどっています。古い造園業が衰退することは仕方がないとしても、それに代わる新しいショップが市民権を得るまでには至っていません。

では、現代の暮らしにおいて、多くの人たちがプライベートガーデンを造り、ガーデンライフを楽しむことは不可能なのでしょうか? そんなことはありません。広さと言う面では制約を受けても、庭にプライベート空間を確保する方法は多数あり、そのための商品・プランも開発されているからです。ただし、単にスペース確保は可能と言っても参考にはならないので、具体的な方法を提示して行くことにします。

まず、関東・関西特有の敷地100㎡程度の狭小一戸建て住宅の場合。この場合は、屋上、カースペースの屋根以外でプライベートガーデンを造ることは困難です。しかも、カースペースにガレージバルコニーを設置するという方法も、困難な場合の方が多いでしょう。となれば、新築時に屋上ガーデンを確保する以外に確実な方法はなく、このプライベートガーデンと言うコーナーからは、大部分が対象外と言うことになってしまいます。

ただし、フロントガーデンの中のフォーカルポイントと言う発想でのミニガーデンを造ることは可能です。門廻り、アプローチの一部、カースペースのデッド部分、などでぜひ工夫してみてください。狭いのは仕方がありませんが、立体的な構成を取り入れることで、ハイセンスにまとめ上げることは十分に可能です。そのための、コンテナ、トレリス等の収集も楽しみの一つと言えるでしょう。

とは言っても、敷地100㎡住宅の壁は確かにあります。しかし、このような住宅が日本の主流では決してありません。また、集合住宅の場合もベランダをプライベートガーデンとすることは可能です。次項からは、その現代日本の大多数の住宅でプライベートガーデンを造り、本格的ガーデンライフをエンジョイする方法について探っていくことにします。

そこで本日のひと口アドバイス。

「100㎡の壁。がだ、大多数の住宅でプライベートガーデン確保は可能!」

(りょう)

 

 

 

 

 

大阪の建売分譲住宅=100㎡の壁

 

 

 

 

 

 

狭小敷地の外構:でも緑は大切

 

 

 

 

 

 

狭小敷地住宅にこそ屋上ガーデンを!

りょうさんの:エクステリア&ガーデンメモ

 

「りょうさんの:ほぼ毎日、エクステリア&ガーデンメモ」・・・NO1,890

 

「現代日本 外構・ガーデン事情 編」・・・ガーデンは文化のバロメーター?

昭和の前半まで日本はガーデン大国であった。この事実、ご理解願えたでしょうか? 同時に、より重要な指摘を行っておきます。それは、ガーデンに対する意識が高い国ほど文化度が高いということ。つまり、ガーデンはその国の文化レベル・成熟度を測るバロメーターであるということ。ひょっとすると個人についても同じことが言えるかもしれません。

実は、ガーデン文化には3つの流れがあります。1つは、ヨーロッパ。2つ目はペルシャ(中東)。3つ目は中国〜日本です。ヨーロッパに関しては、やはりギリシャ・ローマ文明が起源と考えてよいでしょう。ただ、明確な庭園様式が生まれるのは14世紀ごろからで、露段式と呼ばれるもの。イタリアでその地形の影響を受け生まれました。そして、フランスやイギリスで進化し、平面幾何学式、風景式と呼ばれる様式が生まれ、現代へと引き継がれてきました。

ペルシャ(中東)に関しては、言うまでもなくペルシ文明が起源となっています。そしてアケメネス朝(紀元前550年頃)にまでさかのぼることが出来ると言われています。ペルシャ式庭園は、東はインドにまで影響を及ぼし、タージ・マハルと言う最高峰の作品を生み出しました。西に関しては、ヨーロッパへ進出し、同エリアの庭園様式に影響を与えます。しかし、その後中東エリア自体の文化が衰退し、ヨーロッパの流れに吸収され、現在に至っています。

中国の場合は庭園の起源を漢の時代、つまり紀元前後にまで遡ることができます。ただし、中国式庭園と言う様式が確立されるのは、隋・唐の時代からと見てよいでしょう。そして、ほぼ同時進行で日本にもその庭園文化が導入(飛鳥時代)されます。さらに、平安時代に部分的な国風化、室町時代には完全な日本庭園様式が確立され現在に至ります。

そしてこの流れを追って見ると、たとえ権力の象徴であっても建築本体とは異なり、成熟度の高い文明にしか庭園文化は定着していないことが分かります。さらに、その精神・テイストが受け継がれ、現在の住生活の中に定着しているのは、本当に文化度の高い国だけです。具体的には、西ヨーロッパの大半の国、アメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、などです。

そして、昭和の前半までは日本もその仲間入りをしていました。生活レベルにおいては欧米よりも劣っていましたが、日本人の精神的な文化度は高かった。筆者はそう解釈しています。しかし、その後のガーデン意識はかなり低下したと言わざるを得ません。原因は? 物質的な生活レベルは向上したが、精神的な文化度は衰退傾向にある。そんな考え方も、あながち間違いとは言えない・・・そう思えてなりません。

以上の流れを参考に、次項からは現在進行形で、日本のプライベートガーデンの実情、そして、どうすればより楽しいガーデンライフを暮らしに取り入れることが出来るか、多角的に考証して行きます。

そこで本日のひと口アドバイス。

「文明〜文化へ。そして初めて本当の庭園が出現し成熟社会へ・・・」

(りょう)

 

 

 

 

 

 

 

ペルシャ式庭園の基本構成

 

 

 

 

 

 

風景式庭園:イギリス・スタウアヘッド

 

 

 

 

 

 

日本庭園:大徳寺・大仙院

りょうさんの:エクステリア&ガーデンメモ

 

「りょうさんの:ほぼ毎日、エクステリア&ガーデンメモ」・・・NO1,889

 

「現代日本 外構・ガーデン事情 編」・・・日本版プライベートガーデンの歩み?

外構(フロントガーデン)について様々な角度から検証してきました。続いては、プライベートガーデンについて考えて見たいと思います。でも、現在の住生活におけるプライベートガーデンの実情とはどのようなものでしょうか? この点について把握しておかないと、現実離れした記述となり意味がなくなるため、まず確認をしておきます。

ガーデンの先進国でもある欧米の場合は、大都市部の例外を除き、大半がゆったりとしたプライベートスペースを持っています。例えば、イギリスの中産階級の住宅の平均敷地は600㎡前後あるからです。従って、庭のメインはあくまでもプライベートガーデンで、その位置は建物の裏側かサイドにあります。つまり、メインの道路と直接には接していない場合が多いということ。

一方、日本の場合は敷地が狭く、同じようなゾーニングでプライベートガーデンを造ることは困難な場合の方が多くなります。しかも、敷地の狭小化現象は、さらに進み(正確には、昭和終盤〜平成5年頃までが狭小化のピークで、現在はやや緩和傾向にある)、関東・関西の人口密集エリアでは、敷地100㎡以下の住宅がかなりのウエイトを占めています。

もう少し住宅の流れを追うと、1966年の東京オリンピック〜1970年の万国博覧会の頃から、大型の新興団地開発が本格化しました。そして、当時の一戸建ての宅造地は中上クラスの中産階級を意識した開発が主で、200〜250㎡の敷地がメインとなっていました。また、それ以前の地方都市の住宅も200〜300㎡と言った敷地が大勢を占めていました。

そして、これらの住宅の場合は欧米とは別のプライベートガーデンを持っていました。むしろ、建物の裏側ではなく、サイドかメインの道路側にプライベートガーデンを設置するという日本特有のスタイルです。これには2つの理由があります。1つは既に提示したように、元々欧米よりの住宅の敷地が狭かったため。2つ目は、日本庭園は元々サラセン式と言われる、塀や建物で周囲を囲む方式の庭であったということ。そう、敷地条件と歴史上の習慣が合体しこの形状が生まれたという次第です。

従って、スケールは小さくても、昭和中盤までの日本人の多くがプライベートガーデンを持ち、ガーデンライフを極めて重要視していたということです。ただし、そのプライベートガーデンの大半が日本庭園の小型版とも言える観賞中心のガーデンでした。そして、その名残が今の異様ともいえる造園業者を生み、高齢の職人たちが引き継いでいる剪定・葉刈りの市場となって、下降線をたどりながらも引き継がれています。

従って、昭和時代の中盤までは、特異とはいえ、日本はガーデン大国の一つであったことを強調しておきます。なぜなら、ガーデンはその国の文化のバロメーターでもあるからです。

そこで本日のひと口アドバイス。

「元々日本はガーデン大国であった! それが文化を支える大きな要因にも・・・」

(りょう)

 

 

 

 

造成中の千里ニュータウン(約50年前)

 

 

 

 

昭和の日本式プライベートガーデン

 

 

 

 

 

 

かつての日本はガーデン大国であったが・・・

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