2016年 明けましておめでとうございます

新年明けましておめでとうございます。

2016年が皆様に取り、素晴らしい1年となる事を祈念しております。

2015年は敗戦後70年と言う節目の年でもありました。同時に、日本人と言うものは、情緒、芸術面等では優れているが、論理性、中・長期問題に対する的確な判断力、等に関しては大きな欠陥を持った人種であると痛感させらました。

何も、その点に関して新年早々、激論を交わそうなどと大それたことを考え、このような事を書いたわけではありません。新しい年を迎えたのを機に、皆様に極めて難解な質問を行い、日本人が苦手とする、哲学的大問答を行ってもらおう。そんなバカげたことを考えたからです。もし一人でも、そのよなお遊びに付き合ってやろうと言う人がおられましたら、チャレンジを!

ナーガルジュナ(龍樹)と言う、1〜2世紀に実在した仏教界随一と言われる大哲学者の代表的著書「中論」(世界一難解な哲学書とも)からの抜粋。

 

1:既に去った人は、ここから去る事は出来ない。

2:未だここに来ていない人も、ここから去る事は出来ない。

3:現在ここにいる人も、ここから去る事は出来ない。

 

以上は、「中論」の有名なコーナーを、出題者が独自に分かりやすい現代語にしたもの。1と2に関しては大きな問題は無いでしょう。1はこの場所から既に去ってここにいない人なので、去ることなど出来ないから。2は未だここに来ておらず、去ることなど出来ないから。

問題は3。現在ここにいる人も、ナーガルジュナは去る事が出来ないと言います。その理由を考えてください。

実は、この難題に対する解釈は、大きく2つに分かれています。1つは「中論」は帰謬法(間違いを正す)が使われていると言う説で、その説の代表者がチャンドラキールティー(月称:7世紀半ばに活躍)で、注釈書「プラサンナパダー」で有名。もう1つは、「中論」(空の論理)を真正面から論じようとしたバーヴァヴィヴェーカ(清弁:6世紀に活躍)と言う説。

出題者の場合は、帰謬法が正しい(清弁説では上手く説明できない)と考えていますので、別の機会にそれに従い、解答(説明)します。ただし、ナーガルジュナが既に現存しない以上、「真相は永遠の闇の中」とも言えますが・・・

ナーガルジュナ

 

 

 

 

 

ナーガルジュナ(龍樹)

月称

 

 

 

 

 

チャンドラキールティー(月称)

清弁

 

 

 

 

 

バーヴァヴィヴェーカ(清弁)

みずきりょう の:エクステリア&ガーデンメモ

 

りょうさんの:ほぼ毎日、エクステリア&ガーデンメモ」・・・NO2,320

 「現代住宅植栽考」 第40回・・・別格推奨樹木「イロハモミジ」!

人気のシンボルツリー。常緑樹、落葉樹ともほぼ紹介を終えました。ただし、最後に筆者の推奨樹木としてイロハモミジを追加しておきます。現代住宅においてはイロハモミジの使用頻度はむしろ減っています。従って、人気の樹木とは言い難い物があります。しかし、モダン系の住宅が増えた昨今であればこそ、「イロハモミジに再びスポットをあてるべきだ」筆者はそう考えるから・・・

イロハモミジはムクロジ科カエデ属の落葉高木で、別名イロハカエデとも。学名は「Acer(カエデ属) palmatum」。自生地は、朝鮮半島、中国、台湾、それに本州以南のほぼ日本全国。しかも、低い山間部〜標高1,000近くまで幅広い地域で自生しており、我が国で最も多くみられるカエデでもあります。だからこそ万葉の世から現在に至るまで、長く愛され続けて来ました。

従って、樹木の特色を改めて記すまでも無いでしょうが、樹高15m×幹の直系80㎝程度にまで成長する、雌雄同株、葉の形はオオモミジ・ヤマモミジ(イロハモミジの変種・オオモミジの変種と言う2説がある)などと非常に似ているが一回り小さい、4〜5月にあまり目立たない小さな花を付ける、1.5㎝程度の双翌果(実)を付けヘリコプターのように回転しながら飛び散る・・・などを補足提示しておきます。また、古くから親しまれている樹木だけに、イロハモミジから改良された園芸種が多数出回り、盆栽等の愛好家の人気も高い事は周知の通り。

庭木として注目すべき点は、どこにでもある樹木であるが葉の形状に代表されるように姿が個性的(一味違ったスッキリ樹形+株立有り)、書院造・数寄屋造などモダン系の伝統建築物との相性抜群(和洋を問わず現代のモダン系とも相性抜群)、四季の変化を楽しむことが出来る(特に紅葉が魅力的)、成長が比較的遅く管理も楽・・・など。

要するに、和の代表のように思われていますが、モダン系現代住宅に最もよく合う樹木だと言う事。しかも、この点に気づいている人は意外に少ないため、外構・ガーデンの差別化・個性化にもつながります。ぜひ試してみて下さい。

なお、モミジ(紅葉)と言う言葉には3種の解釈があります。1つ目は、紅葉(コウヨウ)そのものを表す。2つ目は、カエデ属の総称。3つ目は、イロハモミジ・オオモミジ・ヤマモミジの(独特の共通葉形植物)の総称。以上です。そして、此の3種の使い分けが、但し書きを付ける事も無く日常的に行われています。にもかかわらず、日本人であれば解釈を間違う事も無く、普通に受け入れている事は周知の通り。

例えば「紅葉(モミジ)狩りに行く」と言えば、「紅葉を見に行く」と言う事で、必ずしもイロハモミジ等の著名な寺院に行くとは限りません。そこに、理屈とは別の文化が・・・

そこで本日の一口アドバイス。

「過去を違った視点で現代に蘇らせる! イロハモミジにはそんな魅力が!」

(みずき りょう)

40:庭木(株立)

 

 

 

 

 

 

イロハモミジの庭木(株立)

40:葉

 

 

 

 

 

特有の葉の形状

40:新葉と花

 

 

 

 

 

新葉と花

40:種

 

 

 

 

 

双翼果

40:葉(紅葉)

 

 

 

 

 

紅葉

40:成木

 

 

 

 

 

 

イロハモミジの成木

みずきりょう の:エクステリア&ガーデンメモ

 

りょうさんの:ほぼ毎日、エクステリア&ガーデンメモ」・・・NO2,319

 「現代住宅植栽考」 第39回・・・樹形ベスト2=カツラ・アオダモ②!

スッキリ樹形の落葉樹ベスト2。カツラに続いてはアオダモの頂上です。

「トネリコ属だから?・アオダモ」

アオダモ(青梻)はモクセイ科トネリコ属の落葉高木で、コバトネリコ、アオタゴと言った別名で呼ばれることもあります。分布エリアは、北海道〜九州と日本のほぼ全域(主に山地)と、南千島・朝鮮半島など。学名は「Fraxinus(トネリコ属) lanuginosa f.serrata」。つまり、正確にはごく近い品種が複数あり、そのうちの一形態をアオダモと呼ぶようですが、学術的に見て限定された植物を庭木・アオダモとして使っているのか、ある程度幅広くアバウトに使っているのかは不明。

注:学名「lanuginosa」の中に、前出の「f.serrata」=アオダモ、他に「f.logicuspis」=ヤマトアオダモ、「F.sieboldiana」=マルバアオダモ、「F.apertisquamifera」=ミヤマアオダモ、などがあるが、相違の詳細不明。

アオダモの特色としては、樹高10~15m×幹の直系50㎝程度にまで成長する、ただし成長スピードは遅い、成長すると樹皮に地衣類が付着し斑点模様が出来る、葉は対生し薄く柔らかい、同先の尖った楕円形で10~15㎝、春先に白い花を群開させる、秋に翼果を付ける、樹形がスッキリしている・・・などを上げることが出来ます。

ここまで記述すればもうお気付きとは思いますが、同じトネリコ属であるた紹介済みのシマトネリコとよく似た面を多数持っていると言う事。ただし、アオダモは落葉樹であるため、葉がより柔らかくしかも別名(コバトネリコ)の通り小さいため、樹形はさらに繊細。この点が、近年より人気が上昇しつつある最大の理由とも言えます。

また、庭木だけではなく、アオダモは古くから多様な使い方をされてきた貴重な樹木でもあります。その1つ目の理由は、木材にした場合材質が硬く弾力性があるため。具体的には、木製バットの材料、スキー板、テニスのラケットなどに多用されました。スキー板、テニスのラケットに関しては、科学の発展により、グラスファイバー、カーボンなどに変わりましたが、プロ野球の世界では現在も使われている事は周知の通り。

2つ目は樹皮に含まれる成分。緑青色を帯びていますが、アオダモの枝を水に浸しておくと青い蛍光色となります。この色素を書道用の墨に加えると特有の澄んだ黒となるため着色添加剤として使われます。また、青色の染料にも使われます。

ただし、既に提示の通りアオダモは成長が遅く成木が激減し、その再生運動が各地で展開されています。庭木として楽しむと同時に、この面にも関心を持ちたいものです。

そこで本日の一口アドバイス。

「アオダモのスッキリ樹形。その原点はトネリコ属であると言う事。お忘れなく!」

(みずき りょう)

39:アオダモ(株立)

 

 

 

 

 

 

アオダモ(株立)

39:花と葉

 

 

 

 

 

花と葉

39:実

 

 

 

 

 

翼果(トネリコ属共通の特徴)

39:幹肌

 

 

 

 

 

 

39:アオダモ(自生)

 

 

 

 

 

 

自生するアオダモ(個体の減少が深刻)

みずきりょう の:エクステリア&ガーデンメモ

 

りょうさんの:ほぼ毎日、エクステリア&ガーデンメモ」・・・NO2,318

 「現代住宅植栽考」 第38回・・・樹形ベスト2=カツラ・アオダモ①!

人気のシンボルツリー・落葉樹編。この項からは、スッキリ樹形ベスト2を紹介します。まずはカツラから。

「スッキリの秘密・カツラ」

カツラはほぼ日本全域に自生する代表的落葉樹。ただし、その分布域は朝鮮半島・中国にも広がっており、固有種と言う訳ではありません。また、分布域は日本全体に広がっていると言うものの、冷涼地域の渓流付近等に特に多く、ブナなどと混成している事も珍しくありません。また、巨木に成長し、クスノキ、ケヤキなどとともに、著名な大木が全国に点在しています。

以上のような理由により、ケヤキ・クスノキが比較的温暖な地域の日本を代表する落葉樹なら、カツラ・ブナは比較的寒い地域の日本を代表する落葉樹・・・そのような印象を強く受けます。

分類を見ると、カツラはユキノシタ目カツラ科カツラ属の落葉高木となります。つまり、かなり独立性の強い樹木と言う事。現に、カツラ科自体が1属(カツラ属)のみで、そのカツラ属もカツラ・ヒロハカツラの2種のみとされています。学名は「Cercidiphyllum(カツラ属) japonicum」で、如何にも日本代表と言ったイメージ。

樹木の特色としては、雌雄異株、樹形がスッキリしている、葉が丸くハート形に近い、枝が非常に細い、成長すると樹皮に特有のヒビワレを生じる、紅葉が美しい、暖地ではそれほど成長は早くない・・・などを上げることが出来ます。そしてこの特色の中に、住宅用の庭木(シンボルツリー、等)として高い人気を維持し続けている理由が隠されています。要するに、樹形が美しく特色がある。加えて、ケヤキやクスノキほど成長が早くないと言う点がポイント。

ではなぜこのような特色が出来上がったのでしょうか。それには明確な理由があります。冷涼地帯をカツラは好むことにより、貴重な陽光を受けるため、細く繊細な枝を効率よく広げスッキリ樹形となったと言う次第。同時に、冷涼地帯+渓流と言った環境を最も好むため、暖地の住宅では生育環境が悪く、成長スピードも遅くなります。カツラには可哀想ですが、人間には好都合と言ったところでしょうか・・・

また、カツラは代表的な落葉樹であるため、銘木としても珍重されてきました。最も有名なものが、将棋盤・碁盤。また、長野の善光寺では同寺院のシンボル的樹木(寺を造る木材としても)として大切にされてきました。ちなみに、有名な参道の並木も実はカツラです。以上の記述でも分かる通り、外見的な側面に加え、カツラは日本人に取りロマンを秘めた樹木と言う事も出来ます。余談ですが、筆者が最も好きなシンボルツリー、それカツラです。

最もカツラには誤解も。「桂」は日本では「カツラ」。しかし、中国では「桂(ケイ)」=「キンモクセイ」であるからです。従って、「月」と「桂」を対比した名文・名シーンが多く存在しますが、これは「月」対「キンモクセイ」が正しく、各所で混乱が見られるようです。

そこで本日の一口アドバイス。

「冷涼地帯+渓流。そこに、人気シンボルツリー・カツラの秘密が・・・」

(みずき りょう)

38:株立

 

 

 

 

 

 

 

カツラ(株立)

38:大木

 

 

 

 

カツラの大木

38:紅葉

 

 

 

 

紅葉したカツラ

38:葉と幹

 

 

 

 

 

 

葉と幹肌(共に特色がある)

38:和池の大カツラ

 

 

 

 

 

 

和池の大カツラ(兵庫県・香美町):樹齢1,000年以上・幹周16.4m・樹高38m)

38:和池の大カツラ②

 

 

 

 

 

 

和池の大カツラ②:カツラは冷涼な気候(標高700m)と渓流付近を好む

38:銘木

 

 

 

 

 

 

カツラの無垢材(銘木)

 

38:将棋盤

 

 

 

 

 

 

カツラの将棋盤

みずきりょう の:エクステリア&ガーデンメモ

 

りょうさんの:ほぼ毎日、エクステリア&ガーデンメモ」・・・NO2,317

 「現代住宅植栽考」 第37回・・・オーソドックス派のシャラ・エゴ②!

シンボルツリーの人気種。2つ目の落葉オーソドックス派としてこの項では「エゴノキ」を取り上げます。

「なぜか中途半端?・エゴノキ」

エゴノキはツツジ目エゴノキ科エゴノキ属の落葉高木で、北海道〜九州・沖縄と非常に幅広い地域の雑木林に主に自生しています。つまり、「どのエリアでも庭木として、最も育てやすい樹木の一つ」と言えるでしょう。ただし、分類を見ても分かるように、比較的仲間の少ない孤独?な樹木でもあります。

少し、エゴノキに比較的近い樹木分布にこだわってみましょう。エゴノキ科の植物は北半球の温帯〜亜熱帯に広く分布し、11〜12属120〜170種があるとされています。そのうち日本には2属5種が自生しているとの事。この分類を見ても分かるように、日本では比較的近縁種が少ない独立性の高い樹木でもあります。学名は「Styrax(エゴノキ属) japonica」。つまり、エゴノキ=エゴノキ属の日本代表。そんなイメージでしょうか。

樹木の特色としては、葉は楕円形で比較的小さい、樹皮は木目細かく滑らか、樹形は比較的スッキリ、5月頃に白い可憐な花を咲かせる、薄緑色の実を付ける・・・などを上げることが出来ます。つまり、スッキリ系樹形で、花も、実も楽しめると言う次第。シンボルツリー用樹木として長い間人気を維持している理由がそこにあるわけですが、なぜかNO1にはならない。欠陥は無いが際立った特色も無い。そんなイメージがあります。エゴノキはどこにでも植えられていますが、意外にその名を答えられる人は少ないのでは・・・

ただ、古くから慣れ親しんだ樹木であるため、様々なエピソードも。まず名前の由来ですが、果実にはエゴサポニンと言う成分があり、口に含むとエグミがあるため。昔はその毒性を利用して魚の捕獲に使ったと言った伝えも。ただし、含有量が少ないため、効果を疑問視する見解もあります。

また、エゴノキはチシャノキorチサノキなどとも呼ばれ、伊達騒動を歌舞伎演目にした「伽羅先代萩」に登場するチサノキ=エゴノキであったとの事(Wikipedia)。ただ、一般的にチシャノキ(萵苣の木)と呼ばれている樹木はムラサキ科の落葉高木でまったくの別種。前出の「伽羅先代萩」登場樹木も筆者はこちらと勘違いしていました。

余談ですが、ものすごく暇な人は、エゴノキの実を口に含み(少量にする事)どの程度のエグミがあるか、大量にその実を集め魚が捕獲できるか、試してみては・・・

そこで本日の一口アドバイス。

「長所はいっぱいあるのに、なぜかNO1になれないエゴノキ・・・これ誤解?」

(みずき りょう)

37:樹形

 

 

 

 

 

 

エゴノキの樹形(株立)

37:樹形2

 

 

 

 

 

花を咲かせたエゴノキ

37:花と葉

 

 

 

 

 

花と葉

37:実

 

 

 

 

 

 

実(エゴサポニンと言う成分を含む)

37:幹

 

 

 

 

 

幹(樹皮は木目細かく滑らか)

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